小学生のうちから大学受験を意識して塾通いも(イメージ)
「もう中学受験対策をするの?」――4月は新たな年度の始まり。都内在住のAさん(40代/女性)は、昨年末に子どもが私立小学校に合格し、一息ついたのも束の間、ママ友から聞かされた話に言葉を失った。
「ようやく小学校受験が終わり、しばらく塾とは無縁だと思っていたら、お受験塾で知り合った友達の子が、新たに塾に入ったという噂を聞きました。どうやらお子さんが医師になりたいと言っていて、早期から医学部対策をしてくれる塾を探したようです。その塾は理系科目に力を入れていて、医学部を見据えた小学生向けのコースがあるとか。とはいえ、小1から大学受験の準備を始めるとは驚きました」
言ってみれば中学受験も、大学受験を見据えた通過コースという側面がある。どんどん早まる受験対策について、現場の声を聞いた。【前後編の前編】
小4や小5からだと希望するクラスが埋まっていることも
小学1年生といえば、大学受験までまだ12年もある。ただ、「早期教育」は昨今の塾業界のトレンドワードだ。首都圏にある中堅塾チェーンで室長を務めるNさん(40代/男性)が、その実情を語る。
「近年は受験対策がどんどん早くなっていて、小1から中学受験のために塾に通うのは珍しくありません。1980年代は小5から始めれば十分でしたが、いつの間にか『小4から』『小3の夏休み明けから』と、どんどん早期化。親御さんも早すぎると感じているようですが、周りが通い始めると焦るものです。小4や小5からだと希望するクラスが埋まっていることもあり、結果的に早めに入塾させるケースもあります」
ONETES(ワンテス。旧・首都圏模試センター)によれば、2026年の首都圏私立・国立中学校の受験者総数の推定は、前年より250名減の5万2050名。過去40年間のピークは、1回目が1991年の5万1000名、2回目が2007年の5万500名で、それらを上回る。また過去最多を記録した2023年の5万2600名から、2024年が5万2400名、2025年が5万2300名と続き、2026年は過去4番目の受験者数となった。なお受験率は18.06%で、首都圏の子どもたちのおよそ5人に1人以上が中学受験をしている計算になる。
また、教育情報サイト「リセマム」が、中学生以上の子をもつ保護者を対象に行った「中学受験に関するアンケート」(2025年、有効回答327名)では、中学受験をさせた保護者のうち、受験を決めた時期についての最多は小学3年生で23%。次いで4年生が21%、小学校入学前が20%だったという。実に全体の58%という過半数が3年生までに中学受験をすると決めているのだ。
