新しい建物に「実質タダで部屋を確保」できる
それによって、地権者は「新しく建つタワマンに実質タダで自分の部屋が確保できたり、あるいは商売をやってる人は低層部でお店を続けられるようになったりする」のだ。
「私も都内の再開発のお手伝いをいくつかやっていますが、魔法のような手法と言われる所以です。ただし、100平米ぐらいの家に住んでいた人が、新しい建物の100平米の床を得るってことはまずない。戻ってくるのは物件によって異なりますが6~7割の床です。それで(床が)足りない人は買い増してもいいし、“もうここには住まない”という人は現金を受け取って出ていくという仕組みです」
細かいところでの調整は必要になるものの、住民側は「総論賛成」となりやすく、行政側にもメリットがあるという。
「行政側は容積率緩和を認める代わりに、公民館や図書館など、必要な公共施設を新しい建物に設けられる。木造の建物の密集地を再開発すれば、災害に強い街にもなる。都市の緑化や賑わいの創出にもつながる、というのも謳い文句になる。当然、それは一帯の地価、不動産価格の評価の上昇につながると考えて実施されるものです」
再開発が見込まれるエリアは今後の不動産価格上昇が期待されるわけだが、その文脈で牧野氏が注目するエリアがあるのが、東京都大田区だという。関連記事『【田園調布を地価下落が襲う?】大田区の不動産価格「上がる街/下がる街」 JR「大森」「蒲田」の東と西の“街間格差”に逆転現象か 大量相続と再開発で予見される激変を不動産プロデューサーが詳細解説』で詳しく解説している。
【プロフィール】
牧野知弘(まきの・ともひろ)/東京大学経済学部卒業。ボストンコンサルティンググループなどを経て、三井不動産に勤務。その後、J-REIT(不動産投資信託)執行役員、運用会社代表取締役を経て独立。現在は、オラガ総研代表取締役としてホテルなどの不動産事業プロデュースを展開している。著書に『街間格差』(中公新書)などがある。
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