通帳に記載されたXからの振り込み
ある日、銀行から会社あてに電話がかかってきた!
私自身、そういったことは特に意識せず、それまで通り投稿していたところ、3月27日から4月25日で「37ドル33セント」の売上がありました。約6000円。イーロン・マスクさん、ありがとう! この調子で、今後突然のまぐれ当たりなどが出たら数万円を獲得できるかもしれない。ブルーマーク取得に必要な金額は年間9800円ですから、元は取れるでしょう。
Xの運営側としても、より平和な空間にしたいと考えているのでしょうが、収益狙いのために、インプレッションが稼げる「いい話(創作も含まれていることでしょう)」や、かつて流行った「兵士がサプライズで帰還する感動動画」的な投稿が多過ぎて、最近若干食傷ぎみです。こういったポジティブなものはまだしも、「暴力的動画」「移民による狼藉動画」もインプレッションが稼げるからか、目立つようになりました。さらには外国人インプレゾンビが自動翻訳でコメント欄に多数登場してきたりもする。
このように、儲けたい人が世界中にかなりの人数いるわけで、果たして運営が求めるような質の良い交流空間になるかは分かりません。また、インフルエンサーが稼いだ金額を知って「自分には無理……」と絶望したり、「嘘ばかりつくな。絶対罠だよこれ。稼げないってまじで」と批判するような投稿も散見されます。
ちなみに今回、この件を取り上げたきっかけは、私の会社で経理全般を担当している社員・Yからの慌てた電話にあります。
「あのさあ……」
とYは言い淀みます。どうしたのかと尋ねると、
「銀行から電話がかかってきたんだけど、アメリカのXコーポ…ナントカからお金が6000円ぐらい振り込まれる予定だけど、この口座で間違いないか、みたいな。『Xって、あのXですか?』って聞いたら、銀行の人は『そうです、旧Twitterのことです』って。いちいち確認してるのかと聞いたら、法人には連絡することになってるそうなんだけど、何のお金なんだろう……心当たりある……?」
私は振り込まれる日を把握していなかったですし、ダッシュボードすら見ていなかった。そもそも、Xの収益化を始めたことをYに伝えていなかった。「X」社って、たしかにちょっと隠れた組織名な感じもあるので、怪しい雰囲気もありますよね。映画『遊星からの物体X』もやはり怪しい生命体です。ただ、私がすっかり忘れていた収益化について、Yからのこの電話で思い出しました。
「あぁ、それか! 収益化プログラムに参加したことを言ってなかったね、ごめんごめん」
Yは「あ、じゃあ受け取ってよいお金なわけね。逆オレオレ詐欺みたいな感じかと思ったわ」と、怪しいマネーロンダリングなどではないことを理解し、一安心したようです。私は「今後時々お金が振り込まれるかもしれないのでよろしく」と伝えるとともに、受取額が10ドル以下だと振り込まれないとも説明しました。実際には5890円振り込まれたそうです。それにしても、これぐらいの送金でもいちいち電話で確認してくれる日本の銀行はすごいですね。
とんだ珍騒動から本稿を執筆するに至りましたが、法人の方は、くれぐれも経理を担当する方にプログラム参加のことを伝え忘れないようにしてください。こちらは不労所得のような形でそれなりに楽しんでやっていこうと思います。
収益化された筆者のX
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう):1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は稲熊均氏との共著『ウソは真実の6倍の速さで拡散する』(中日新聞社)。

