関節リウマチは粘膜での慢性炎症が「自己抗体」を作り出し、それが関節を攻撃することで発症する(Google NotebookLMで作成)
関節リウマチと似ている病気
リウマチという病名がついているものの一つに、「リウマチ性多発筋痛症」があります。無理な運動やいつもよりきつい仕事をした翌日などに、突然首から肩や腰、太ももなどが左右対称に痛くなり微熱を伴い、1週間経っても治らず痛みで動けなくなる病気です。男女比はおよそ1対2~3とやや女性に多く、50歳以上に発症し、特に70代以上で急増し、車椅子で病院に連れてこられる方も数多くいらっしゃいます。
リウマチという病名がついているので、「関節リウマチ」と誤解する患者さんも多いのですがこれらはまったく違います。リウマチ性多発筋痛症は原因不明の炎症性の病気ですが、主にステロイドによる薬物治療で速やかな症状の改善が期待できます。一方で、関節リウマチと異なり、リウマトイド因子や抗CCP抗体といった血液検査の特徴的な異常がないため、診断に難渋することもあります。治療が順調に進めば最終的には薬が不要になることもありますが、再発する場合は治療期間が2年以上の長期にわたることもあります。
一方、関節リウマチはリウマチ性多発筋痛症と違い、手首や指など比較的小さい関節に症状がでます。ご家族にリウマチの方がいると発症リスクがやや上がるとされており、好発年齢はあるものの、10代から90代まで何歳でも発症の可能性があります。リウマトイド因子や抗CCP抗体などの検査が診断の参考になりますが、それらが陰性の関節リウマチも全体の20%ほどいるとされています。
また、指の「変形性関節症」も、第1関節や第2関節が骨ばって腫れて痛い病気であるため混同されやすいのですが、病態が異なります。関節リウマチは関節の中の滑膜の炎症によって骨が削れていく「骨びらん」が起こるのに対し、変形性関節症は軟骨がすり減って骨に「とげ(骨棘)」ができ、関節がごつごつ角張ってくるという違いがあります。また、中高年女性では、更年期障害で指が痛くなることもあります。この場合は、ホルモン補充療法を実施しても指の痛みが残ることもあります。
「関節リウマチは関節の中の滑膜の炎症によって骨が削れていく『骨びらん』が起こります」と語る萩野准教授
■後編記事につづく:【関節リウマチ治療の最前線】朝起きた時に手や指が30分以上こわばっていたら要注意 早期診断・早期治療で「無治療寛解」も目指せる【専門医が解説】
【プロフィール】
萩野昇(はぎの・のぼる)/帝京大学ちば総合医療センターリウマチ内科准教授。2000年、東京大学医学部卒業後、都立駒込病院、東京大学医学部附属病院アレルギー・リウマチ内科などを経て、2011年6月より現職。米国リウマチ学会上級会員(FACR)。「裾野は広く、頂点は高く」をモットーに、長年にわたりリウマチ・膠原病診療に従事。豊富な臨床経験をもとに専門医療の発展と普及に尽力している。『ロジックで進めるリウマチ・膠原病診療』(医学書院)など著書多数。
取材・文/岩城レイ子

