日本のリウマチ患者は70万人とも100万人ともいわれる(写真:イメージマート)
パソコンやスマホが欠かせないビジネスパーソンにとって、手や指の不調は仕事や日常生活に大きな影響を及ぼす。進行すると関節が壊れることもある「関節リウマチ」は、かつては若い女性に多い病気とされていたが、近年はシニア世代の男性患者も増えているという。発症には歯周病や喫煙、腸内環境の乱れなど、「粘膜の炎症」が深く関わることもわかってきた──。シリーズ「医心伝身プラス 名医からのアドバイス」、長年にわたりリウマチ・膠原病診療に携わってきた帝京大学ちば総合医療センター・萩野昇准教授が解説する。【関節リウマチの診断と最新治療・前編】
発症年齢は高齢化、男性の比率が増える
関節リウマチは自己免疫疾患であり、感染症などから身体を守る免疫システムが何らかのきっかけで自分の体の細胞を外敵とみなし攻撃することで関節が炎症を起こし、腫れて痛みを伴い関節が壊れる病気です。日本のリウマチ患者は、70万人とも100万人ともいわれ、毎年約1万5000人が発症すると推計されています。全人口に占める割合は0.5~1.0%で、海外でも大差ありません。
1990年代までは20~40代の女性の発症が多いといわれていたのですが、世界的に発症年齢の高齢化が進み、現在は30~50代が発症のピークとなっています。ただし、高齢化が進む詳細な理由はわかっていません。50代までは患者の男女比は1対4で圧倒的に女性に多い病気ですが、60代以上の高齢になると男性にも増え、男女比はほぼ1対1となります。
ところで、リウマチという病名は「ロイマ(rheuma)=流れ、移り変わる」という古代ギリシャ語からきています。体のあちこちに痛みが発生することからついたのですが、当時の病気は関節リウマチではなくリウマチ熱を指していました。リウマチ熱は、連鎖球菌の細菌感染によって体のあちこちに痛みを感じる病気ですが、抗生物質の誕生により先進国ではほとんど見られなくなりました。
粘膜の慢性炎症が、やがて関節炎に
発症原因を考えるにあたり、興味深い話があります。エジプトのミイラには関節リウマチが全く見つかっていません。関節リウマチ以外の関節の病気を持つミイラは発見されているため、古代にはなかった病気かもしれません。病気の発症には遺伝子と環境が関わっているといわれますが、遺伝子は1000年、2000年という短い期間では大きく変化しないため、関節リウマチは環境の変化が発症に関与していると考えられています。
現在、関節リウマチの主な環境要因は、歯周病、タバコ、腸内細菌バランスの乱れとされ、特定の遺伝子を持っている方が喫煙すると関節リウマチになる確率が高いことがわかっています。これら環境要因で共通しているのは「粘膜」です。粘膜で異常な炎症が起こり長期間続くことで免疫の異常が起こり、その後関節に移って関節で炎症が起こり関節リウマチを発症し、関節の痛みや腫れなどの自覚症状が出てきます。
