*12:44JST バルテスHD Research Memo(4):2027年3月期は先行投資により、5.0%と小幅な営業増益を見込む
■バルテス・ホールディングス<4442>の今後の見通し
2027年3月期の連結業績は、売上高で14,160百万円(前期比18.6%増)、営業利益で970百万円(同5.0%増)、経常利益で950百万円(同3.1%増)、親会社株主に帰属する当期純利益で610百万円(同6.4%増)を予想している。
引き続き各KPIの上昇を図り2ケタの増収を見込む一方、利益面については、生成AIテストツール開発等へ継続して4億円以上の投資を計画していることから、各利益の増益率は小幅にとどまる見通しである。同社は、中期経営計画に沿って2027年3月期までは投資を継続するため、回収期は2028年3月期以降になる見込みとしている。なお、生成AIテストツール開発やマーケティング強化、ハイクラス人材の採用強化といったAI関連投資を除く「AI投資前営業利益」の試算では、1,370百万円(前期比13.8%増)と2ケタ増益の堅調な伸びを確保する見通しであり、今回の増益率の鈍化は将来の持続的成長に必要な戦略的投資によるものであると捉えられる。
また、組織面における成長戦略の一環として、2026年7月1日付でグループ内の組織再編を行い、新体制となる「バルテス・ソリューションズ&AI(株)」を発足させる予定である。具体的には、アール・エス・アールが東京・広島・福岡で展開してきた受託開発事業、SES事業及びソフトウェアテスト事業をシンフォーへ承継するとともに、ミントを消滅会社とし、シンフォーを存続会社とする吸収合併を実施する。これは、グループ内の開発機能を集約したうえで、シンフォーの商号を「バルテス・ソリューションズ&AI(株)」へと変更する計画である。この再編を通じてグループ各社の役割分担の明確化と連携強化を図ることで、経営の効率性と競争力を高め、さらなる企業価値向上を目指す。
■中長期の成長戦略
2028年3月期に売上高170.0億円、営業利益18.8億円を目指す
同社が以前から開発を進めてきた生成AIテストツール開発への道筋が見えてきたことから、同社ではこれに基づいた新たな3ヶ年の中期経営計画を2025年6月に発表した。主な骨子は以下のとおりである。
(1) 生成AI技術拡大によるメリットと目的
「生産性向上」「価格競争力向上」「IT人材採用難でも利益拡大が可能」などが期待できる。また同社グループへの影響としては、売上高の約85%を占めるソフトウェアテスト事業の生産性向上により、同社グループ全体の収益性が劇的に向上する見込みである。
(2) 生成AIテストツール開発における同社の優位性と未来像
同社では自社の優位性として、ソフトウェアテスト専門事業者としての20年にわたる豊富な実績に基づき、テスト工程全般を網羅するテストツール群を自社開発している点を挙げている。開発者自身によるテストは客観性や信頼性に欠けることから、同社が提供する第三者検証の必要性が改めて捉えられている。こうした強みや知見を背景に、2025年3月には生成AIテスト設計ツール「TestScape」の先行実装を開始しており、生成AIテストツール開発において高い優位性を築いている。なお、中期経営計画において同社が未来像として描くのは、「ソフトウェアテストの全工程の自動化」「テストエンジニアからAI-テストデザインコンサルタントへの成長」である。
(3) 投資計画及び利益目標
同社では、3ヶ年の中期経営計画において、生成AIテストツール開発に対し毎期4億円を投資するほか、M&Aや事業所投資などのBS戦略投資として25億円、株主還元策として株主優待及び配当にそれぞれ2.4億円を投じる計画を策定している。
2028年3月期の利益目標としては、売上高170.0億円(2025年3月期実績は107.9億円)、営業利益18.8億円(同9.2億円)、営業利益率11.1%(同8.6%)を掲げ、人に依存しないビジネスモデルの売上構成比を従来の微小な規模から26%超へ引き上げる方針である。なお、同社は中期経営計画の進捗状況について計画どおり順調に推移しており、現時点で目標数値などの変更はないとしている。
■株主還元策
当面は年間4.0円の配当を維持する意向
同社は、2023年3月期までは将来の成長に向けての内部留保を優先し無配としていたが、2024年3月期より配当を実施している。2026年3月期は年間4.0円の配当を実施したほか、2027年3月期でも年間4.0円の配当を予定している。同社では、中期経営計画に基づく成長投資を優先する方針から、当面は年間4.0円の安定配当を維持する意向である。さらに、株主への利益還元策として株主優待制度を導入しており、500株以上を保有する株主に対して年間15,000円分の「QUOカード」を進呈している。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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