*13:37JST CAP Research Memo(7):市場環境の変化を踏まえ、使用料課金ビジネスモデルへの転換を加速
■キャピタル・アセット・プランニング<3965>の中長期の成長戦略
3. 足元の急速な環境変化を捉えた同社の対応
足元では、生成AIの急速な進化と普及による金融機関のIT投資姿勢の変化、相続税制改正を背景とした資産承継ニーズの拡大、NISAを契機とした顧客層の多様化など、事業環境が大きく変化している。既に多くの金融機関との取引実績と先進的なプラットフォームを持つ同社にとってはいずれも追い風であり、成長戦略のなかでも、とりわけ次の3点に注力している。
(1) ウェルステックへのポジショニング強化(成長戦略3)
アセットマネジメント(資産運用)とタックスマネジメント(税務管理)を融合し、システムを通じて実現する「ウェルステック(WealthTech)」を目指している。こうしたシステムは日本市場では希少であり、同社に対抗できる企業は国内外を問わずほとんどない。将来的には、AIエージェントによる自動提案や人型ロボットによる富裕層向けコンサルティングまでを視野に入れており、デジタルとAIを活用した金融サービス変革を主導する姿勢を示している。
(2) ビジネスモデル転換加速(成長戦略1、2、3)
従来の受託開発ベースの労働集約型モデルから、プラットフォームによる使用料課金及び残高報酬型の非労働集約的な収益モデルへの転換を加速する。同社のプラットフォームは、ネット証券やIFAなどから高い評価を獲得していることに加え、金融業界を横断して情報を集積できるポジショニングを生かし、新規導入に向けた営業活動に注力する。相続税の納税準備や財産分割提案書の生成AI自動作成機能も開発中である。未取引金融機関へのM&Aを活用した参入も視野に入れている。
(3) 生成AI活用と開発体制の変革
開発現場では、生成AIツールを実装・単体テストなどに活用し、最大約60%の時間短縮を実現している。業界全体でIT人材に求められるスキルセットが変化するなか、同社でも人員計画の見直しを進めている。また、東京大学・松尾豊教授研究室発のAIスタートアップ(株)Elithと連携し、AI-OCR技術を活用し、非上場会社の決算書を自動で読み取り、自社株を評価して顧客の金融資産等に係る課題を見える化するシステムを共同で開発した。
4. M&A戦略(インオーガニック戦略)
同社は、オーガニック成長戦略に加え、M&Aを活用したインオーガニック成長も視野に入れている。M&Aを通じて競争力を強化し、持続的な成長を実現する方針である。将来の成長期待を明確に示すことで、PERの向上を意識した経営を行う考えである。ターゲットとしては、銀行・証券向けビジネスの拡大に直結するシステムやノウハウを持つ企業を想定している。この分野では、事業承継ニーズを持つ未上場企業もあり、既に具体的な交渉が進捗している。金融機関との新規取引参入はハードルが高いものの、M&Aを通じて顧客基盤拡大を目指し、中期経営計画で掲げる銀行・証券・その他分野の売上比率40%への引き上げ加速をねらう。成長投資の原資としては、内部留保に加え、デットファイナンスの活用も検討している。なお、M&Aによる成長は中期経営計画の数値目標には織り込んでおらず、実現した場合には上振れ要因となる。
■株主還元策
2026年9月期配当予想は年間21.0円に上方修正し、前期比3.0円増配へ
同社は株主還元策として配当を実施しており、中期経営計画の期間中においては原則として減配を行わず、配当を維持または増配する累進配当を基本方針とし、配当性向20%〜50%を利益還元の目安としている。
2025年9月期は、年間18.0円(配当性向25.7%)の配当を実施し、配当性向の目標レンジを達成した。2026年9月期については、3.0円増配となる年間21.0円(同26.0%)を予想している。通期業績予想の上方修正に合わせて、配当金予想についても期初予想比2.0円上方修正した。なお、利益の着地見込みを見ながら、機動的に修正する姿勢を示している。
今後、親会社株主に帰属する当期純利益の拡大を見込んでいるが、利益配分については配当のみならず、将来の成長に向けた研究開発(R&D)投資にも充当していく。配当性向に一定の幅を持たせることで投資余力を確保しつつ、累進配当の継続を通じて、中長期的な株主価値の向上を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 渡邉 俊輔)
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