ナンバープレートに潜む自治体・都市のヒエラルキー意識
ナンバープレートにちなんだ各地域の思惑や来歴をたどると、居住地や出身地におけるヒエラルキーのような意識が見え隠れすることに気づかされる。漫画が原作の映画『翔んで埼玉』では東京都が最上位、次いで神奈川県という自治体序列が描かれ、3番手を争うのは埼玉県と千葉県となっていた。何の根拠もない順位だが、そんなもんかと思ってしまう人は多いのではないだろうか。
こうした自治体・都市のヒエラルキー意識は、世間に流布するイメージで決まることも多い。そのため、多くの自治体関係者は「とにかく自分の街を売り出す」ことを模索している。ナンバープレートもその一手段であることは言うまでもなく、「あそこの市がナンバープレートに採用されたのだから、うちもナンバープレートに」という対抗意識が滲み出ている。それを如実に表しているのが、群馬県の高崎ナンバーと前橋ナンバーだろう。
それまで群馬県は群馬ナンバーひとつしかなかったが、ご当地ナンバー第1弾で高崎ナンバーが誕生した。高崎は群馬県内では人口が約36万4000人で、上越・北陸新幹線も停車するので県外の人にも広く知られた都市だ。群馬県経済を牽引する都市でもあるだけに、高崎ナンバーが群馬ナンバーから独立するのは不思議なことではなかった。
しかし、高崎ナンバーが誕生したことで、内心は面白くない気持ちを抱いていたのが前橋ではないだろうか。前橋市は群馬県の県庁所在地ながら、人口は約31万1000人と約34万4000人を擁する高崎市の後塵を拝している。県都・前橋が高崎に負けるわけにはいかない。2014年に交付を開始したご当地ナンバー第2弾では、前橋ナンバーも誕生。これで(ナンバープレートとしては)前橋は高崎と肩を並べた。
前橋市にとって、前橋ナンバーの実現は念願が叶った話でもあるが、当然それだけで前橋の名前が全国に広まるわけではなく、ブランド化の第一歩に過ぎない。