「美しい顔」の特徴とされる「Eライン」(写真:イメージマート)
専門家「禁止よりも、言葉との距離を考えることが大切」
骨格診断やパーソナルカラー診断は、似合う服やメイクを楽しむ手段にもなる。美容への関心が、自己表現や自信につながることもあるだろう。一方で、美醜をめぐる価値観がSNS上に溢れている昨今、子どもたちにコンプレックスを植え付けたり、刺激したりすることを懸念する保護者は少なくない。
美容やルッキズムに関する研究を専門とする大学教員の女性・Bさん(40代)は、「こうした情報の背後には、消費者のコンプレックスを刺激する『ルッキズム広告』の存在も影響している」と注意喚起する。
「外見の美醜や体型など、特定の容姿を“みんなの理想”として押し付けることで、消費者のコンプレックスを刺激し、購買行動に繋げる広告をルッキズム広告といいます。ルッキズム広告の特徴は、『あなたは今のままでは十分ではない』という不安を煽り、その不十分さが、あたかも本人の努力不足や自己管理の問題であるかのように見せる点にあります。
たとえば、“中顔面”“横顔美人”“人中短縮”“骨格に合う服”“陶器のような透き通った肌”……といった言葉は、一見すると自分をより良く見せるためのポジティブな情報に見えます。しかし、繰り返し接しているうちに、消費者は自分の顔や体を改善すべきパーツの集合体として見るようになってしまうのです」(Bさん)
Bさんは、こうした傾向について、「子どもがメンタルを鍛えれば解決する」という単純な問題ではないという。そこには見逃しがたい、市場の論理があるようだ。
「社会学的に見ると、これは美しさの基準が、個人の好みではなく、市場の論理と結びついていることに起因する問題です。子どもたちは、“自分がきれいになりたいから選んでいる”と思っていても、その選択肢自体が、美容業界の広告や、SNSのアルゴリズムによってかなり狭められている場合があります。
保護者に求められるのは、そうした子どもの美容への関心を否定するのではなく、『その悩みは本当に自分から出てきたもの? それとも誰かに気にさせられているもの?』と、一緒に考えることではないでしょうか。必要なのは、子どもが自分の身体を採点対象としてだけ見ないための言葉を家庭や学校で増やし、『不安が作られるメカニズム』について考える、いわばメタ認知を鍛える習慣だと思います」(Bさん)
消費者のコンプレックスを刺激するのは、美容業界のルッキズム広告だけではない。ユーザーの興味関心に合わせて情報を取捨選択する、SNSのアルゴリズムが、こうした“美の基準”に関わる情報を、日々子どもたちの目に触れさせている。
子どもが自分の身体を、過度に「採点対象」として見ないようにするためには、どうすべきか。親や学校、社会が真剣に向き合わなければならない時代になってきているのかもしれない。
▼▼▼前編記事▼▼▼
【はじめから読む→】「骨格タイプ、口ゴボ、Eライン、スペ110…」子どもが平気で口にする“外見用語”に不安を覚える保護者たち
