JR東海道本線(神戸線)を走るJR西日本の321系電車
鉄道は、多くの人にとって交通の手段としてだけでなく、趣味や娯楽の対象としても親しまれており、ときに人の知的好奇心を刺激してくれる。交通技術解説者の川辺謙一氏による連載「鉄道の科学」。第40回は「電車のモーター」について。
電車のモーターはどこにある?
電車にとって、モーターは動力源です。駆動にリニアモーターを使う例を除けば、モーターが発生する回転力を車輪に伝えて駆動する構造になっています。
モーターは「電動機」とも呼ばれ、日本産業規格(JIS規格)や技術文書では「モータ」と表記します。鉄道業界では、動力源となるモーターを「主電動機(しゅでんどうき)」と呼びますが、ここではそれを「モーター」と呼ぶことにします。
さて、みなさんは、電車のモーターがどこにあり、どんな形をしているかご存じでしょうか? じつはモーターは、鉄道の利用者からは見えにくい場所にあるので、「見たことがある」という方は、おそらく少ないでしょう。
新幹線の電車(奥)と、その台車(手前)。横から見ると、モーターが見えない。JR西日本博多総合車両所一般公開イベントにて筆者撮影
答えは、台車の内部にあります。台車は、人が乗る車体を下から支える走行装置です。ここには、台車枠と呼ばれるメインフレームの他に、車輪や車軸、ブレーキ装置などの多くの部品があります。
モーターは、台車の横に立つと、車輪や台車枠などの部品によって隠れるので、よく見えません。いっぽう、台車の前後に立ち、それを見下ろすと見えます。

