*12:07JST オーバル Research Memo(7):中期経営計画は、目標達成に向けて順調に進捗(3)
■オーバル<7727>の中長期の成長戦略
(3) システム事業成長戦略
システム事業では、脱炭素社会への移行期間においてエネルギー安定供給体制を確保するため、石油類取引用システムの提供を行う。エネルギー安全保障への貢献は、社会貢献にもつながる取り組みであり、アジア市場の売上高(システム部門以外を含む全社合計)を、2025年3月期比15%増とする計画だ。そのために、シンガポールを中心に、中国、韓国、台湾のグループ会社との連携強化による販路拡大を目指す。
システム事業においてアジアを束ねているOVAL ASIA PACIFIC PTE. LTD.(シンガポールの連結子会社)では、FPSO(Floating Production, Storage and Offloading system)やFSO(Floating Storage and Offloading system)と呼ばれる、洋上で石油・天然ガスを生産・貯蔵積出するための浮体式設備に用いる、石油類の取引用に使用される流量計測装置と流量校正装置を得意としており、これまで多数納入してきた経験と実績を生かす計画である。
OVAL ASIA PACIFICの最近の実績としては、2025年4月にベトナムPTSC Asia Pacificより大口システム案件を受注した。この受注は、これまで培った経験や実績などが評価された結果と考えられる。このように、同社グループは、アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指すとともに、エネルギーの安定供給と安全保障にも貢献している。
(4) 新事業創出戦略
新事業創出では、自社保有技術を活用した新たな取り組みを行う。具体的には、社内ベンチャー制度を活用した新事業創設や流量計測以外の製品開発を通じて新たな市場を開拓することで、2028年3月期には新規事業売上高17億円の純増を目指す。
最近の実績としては、ケムシェルパ(含有化学物質調査)の調査代行事業がある。サプライヤと顧客の間に同社が入り、ケムシェルパのデータ授受管理を行うサービスだ。サプライヤへの依頼、データ確認・集計、回答書作成の業務から顧客を解放しつつ、提出用回答書を入手することができる。このサービスは社内ベンチャーから生まれた事業で、コンサルティング事業として応用している。
また、同社はプール給水監視システムも展開している。学校プールでは、給水管理にかかる負担や、水道の止め忘れによる水の流失事故防止といった課題がある。そこで、同社では教職員や自治体の担当者が、簡単に遠隔で流量を確認できるように、「完全工事レス流量計UC-1(無線仕様)」と「920MHz無線ネットワーク『ミスター省エネ』を用いた遠隔監視システム」を展開している。同システムは、給水開始時、給水停止時、異常時にEメールを自動送信する。流量を監視する流量計は電池式で配管の外側に巻き付けるだけであり、既存設備の切断・改造や電源工事などが不要であり、給水配管の運用を止めにくい学校環境でも短時間で導入しやすいため、既に複数の学校が導入している。同社では、今後は学校を新市場として開拓する計画である。
(5) 生産性向上戦略
同社グループでは、アジアNo.1のセンシング・ソリューション・カンパニーを目指し、設備投資を実施している。中国市場では、リチウムイオン電池、船舶、化学、エネルギーなどの分野で流量計需要が拡大している。増大する現地需要に対し、顧客ニーズを的確にとらえた製品を迅速に供給するために、現地生産キャパシティを強化し、グループの生産性向上を図る必要があった。この解決のために2026年4月には、中国の連結子会社において新工場を開設し、現地製造・現地販売の体制を増強した。既存工場と役割を分担しながら、生産能力の補完及び柔軟な生産対応を担う拠点と位置付け、中国市場における安定した供給体制を確保する計画だ。現在は、中国の景気減速や日中関係の悪化が懸念されるが、同社の事業は順調であり、状況悪化の場合の対応は「事業継続計画(Business Continuity Plan)」に定めている。
以上の戦略は、中期経営計画の経営目標達成の原動力となる重要な戦略である。同社では、成長戦略を意欲的に推進しており、業績も順調に推移している。弊社では引き続き、今後の進捗状況に注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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