唐津市「ニジノネ」の店主・黒川洋行さん
誰かが不要だと手放した「古道具」を集める古物商。そんなに毎日客で賑わっている気もしないし、どんどん売れる商品を置いてあるわけでもなさそうだ。一体、商売として成立させる秘訣は、どこにあるのか。佐賀県唐津市に移住して古道具店「ニジノネ」を開いた店主・黒川洋行さん(67)に話を聞いた。
何かしらやることがあったほうがいいと起業
東京出身の黒川さんは、広告制作会社でCMプランナーとして仕事のキャリアを開始した。フリーのプランナー、イラストレーター、ギャラリーショップオーナーなどを経て、2017年に妻とともに唐津に移住。現在は「ニジノネ」で古道具を売りつつ、同じ建物内でバーを経営している。
「もともと、60歳前に引退したかったんです。そうしたら僕が58歳の頃、カミさんが親の介護で唐津に来ていて、夫婦でここに住むのもいいね、と。『じゃあ、やめるか』というわけで、それまでの事業をすべて終了させました。
でも、1年ぐらい唐津でぶらぶらしていたら、もう少し何かやった方がいいなと思うようになりました。年金もあるし、家もあるので、お金に困っているわけではなかったのですが、何かしら“やること”があったほうがいい。そんな時、この物件が見つかり、やりたいことだけをやることにしたのです」
当初決めていたのは赤字を出さないこと。仕入れは、海外にいる知り合いからの情報や、全国各地の古物市や蚤の市に通い、良い品があれば買ってくる。
「値付けに関して、業界では『1.5倍』という言い方をすることがあります。仕入れたものを1.5倍の価格で売るという意味ですね。仕入れた古道具に手を加えるかどうかは人によって異なるようですが、僕は基本的に汚れはきれいに落とします。もちろん、サビていたり、汚れていたりと、そのままの方がいいと言う人もいます。でも僕は汚れが落ちた状態で売りたい。ただそうすると、その作業代の分、値段も上げなければならなくなるというジレンマはあります」
