7月16日に「フィジカルAI」実用化に向けた事業検討を始めると発表したエヌビディア、富士通、ファナック、安川電機、川崎重工の経営陣(写真・時事通信フォト)
7月16日、国産のマルチモーダル基盤モデルを開発する「Noetra」が、国内企業44社から出資を受けて研究開発を本格始動したと発表した。マルチモーダル基盤モデルとは、文章だけでなく画像や動画、音声など複数種類の情報をまとめて処理するAIの基礎モデルを指す。ところが皮肉なことに、翌17日には米国市場の動向などの影響により日本市場のAI・半導体関連銘柄は軒並み下落。日経平均の下げ幅は一時4000円を超えた。
44社のNoetra出資企業の中でも、東京エレクトロンなどは大きく値を下げた。波乱の船出にも見えるが、出資企業にはソニーグループやソフトバンクとともに、産業用ロボット国内2強のファナックと安川電機も名を連ねる。また同日、富士通がこの2社と川崎重工業に、米国の半導体・AI計算基盤大手NVIDIAの技術を組み合わせ、AIが自律的に動く「フィジカルAI」の実用化に向けた事業検討を始めると発表した。フィジカルAIをめぐる動きが活発化するが、直近決算を見るとファナックが増収増益、安川電機は最終利益38%減と対照的。なぜ明暗が分かれているのか。2社のビジネスの現在地と今後の見通しを読み解く。
目次
増収増益と最終利益38%減、業績の差をどう見るか
ファナックは2026年3月期、安川電機は国際会計基準の2026年2月期であり、決算期は1か月ずれている。そのうえで4月24日発表のファナックと4月10日発表の安川電機の売上と営業利益を並べると、増収を利益につなげられたかどうかという点で、違いが見えてきそうだ。
ファナックの売上高は前期比7.6%増の8578億円、営業利益は15.7%増の1838億円だった。営業利益率は、前期の19.9%から21.4%へ上昇。親会社株主に帰属する純利益も12.9%増の1665億円となった。
一方、安川電機の売上収益は0.8%増の5421億円だったが、営業利益は5.7%減の473億円。営業利益率も9.3%から8.7%に低下し、親会社の所有者に帰属する当期利益は38.2%減の352億円となった。
ただ、安川電機の営業利益の減少率は5.7%であり、最終利益の38.2%減とは大きな開きがある。両社の業績差を考えるには、安川電機の最終利益が大きく減った理由と、営業段階で生じていた変化を分ける必要がありそうだ。
ファナックは、なぜ増収率を上回る増益になったのか
ファナックの増益を支えた一つが、ロボット部門の拡大である。2026年3月期のロボット部門売上高は3786億円と、前年度の3296億円から増加した。全社売上に占める構成比も41.3%から44.1%へ上昇している。
ただ、増益はロボット部門だけの成果とは言えない面もありそうだ。同社は、工作機械などを制御する機器を扱うFA部門、産業機械を扱うロボマシン部門、保守などを担うサービス部門も展開する。営業利益の増減分析では、売上増による258億円に加え、原価面の改善が132億円の増益要因となった。販管費の増加などを吸収し、売上高の伸びを上回る営業増益につなげた。
受注高も増加した。2026年3月期第4四半期の受注高は前年同期比19.2%増の2520億円だった。ロボットは10.6%増え、FAは40.2%増となっている。ロボットの売上を伸ばしながら、制御機器や産業機械、サービスを含む事業群でも需要を取り込む構造が、20%を超える営業利益率を支えているといえるだろう。
では、安川電機の最終利益を大きく押し下げた要因はどこにあり、ロボット部門の採算に表れた変化はどのようなものなのか。
※本記事作成には、一部に生成AIの技術を活用しています。
