中川淳一郎のビールと仕事がある幸せ

電通・博報堂を遥かに凌駕する下請け企業のブラック度

 広告業界はここまで酷くはないものの、広告代理店が下請けに出す際は、「進行管理費」として無条件で15%ほどのカネを取る。その下に大手制作会社が入ると、彼らも中小制作会社に発注するにあたり「進行管理費」を取るため、実際に作業のために手を動かしたり、イベントで必要な備品を発注したりする会社に残るカネはかなり少なくなる。企画書作成においても、下請けが作った企画書の表紙だけをあたかも自分達が作ったかのように変え、プレゼンを広告代理店社員が行うのである。

新卒で入社8年目だと「随分長く働いていますね!」と言われる

 当然これは、下請け企業の従業員の給料を低く抑えることにつながるのだが、彼らはこれを「ブラック」だと感じる。これまでに何社ものPR会社や制作会社の人々と付き合ってきたが、ブラックだと感じる要素は冒頭の3つに加え、「自分の出した成果を川上の会社に奪われてしまう」というものもあると語っていた。

 たとえば、広告のキャッチコピーを作るにしても、制作会社の若手が100案ほど作り、結果的にその中から1案がクライアントに選ばれたとしても、それを書いた人間は広告代理店のコピーライターということになる。もちろん、そのコピーライターも制作会社の若手が書いたことは知っており、自らは「選んだ」「ブラッシュアップした」ということは分かっているのだが、プレスリリース等ではその若手の名前が載らないこともある。

 こういった状況があるだけに、「川下」の会社に勤めている人はより良い条件を求め、転職を繰り返す。新卒で入社8年目などと言われると「随分長く働いていますね!」と驚かれるほどだ。一方、電通や博報堂では8年目などまだ「若手」。結局世間が思うほど働きづらい会社ではない、ということになる。

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