ヤクザとマネー・マル秘資料編 #5
杳として知れない暴力団の資金源やビジネスの実態を、『サカナとヤクザ』などの著作で次々と明らかにしてきた暴力団取材のエキスパート鈴木智彦氏。長年にわたる取材活動のなかで、日本最大の暴力団組織・山口組に関する様々な警察資料や内部資料を入手してきた。鈴木氏がみずからその貴重な資料について解説した2025年8月のマネーポストWEBプレミアムのライブ配信に、聞き手として週刊ポスト編集長の酒井裕玄が同席した。名簿の次に鈴木氏が広げたのは、組の機関誌「山口組新報」。組員に配られる非公開の誌面には、思いがけないページがあった。組長たちが綴る、海外旅行の記録である。
――これは山口組新報ですね。しかもコピーじゃなくて、実際に配布された原本。これがかなりレアなんですよね?
「各組織に、枚数を指定して配られるんですよ。だから、うかつに渡せない。渡すと『どこから出てきたんだ』ということになる。山口組は情報統制にすごく気を使っていて、万が一こうやって現物が外に出たときに、どこから漏れたかわかるようにしてあるらしいんです。一部だけどこかを変えてあるとか、わざと傷をつけてあるとか。
僕は、山口組が分裂したばかりの頃に、上の許可を取ってもらって1部もらった。コピー自体は出回っているから、取材している記者はみんなファイルしていると思うけど、原本はなかなか無いです」
山口組新報
――これは2015年の版で、巻頭を橋本弘文……当時の統括委員長が語っているんです。
「神戸山口組の側、山健組にいた人ですね。今はもう引退している。ちょうど分裂騒動の頃だから、その時代の貴重な記録でもあるんですよ」
――これは……組長さんたちが、それぞれの旅行のことを書いている。見ていくと、組長たちって旅行好きなんだなと。
「そうそう。紀行文ですよね。ただ、行ける国が少ないから、どうしてもアジアが多くなる。香港、マカオ、シンガポール。遠くだとイスタンブールまで行った人もいますね。」
さらに鈴木氏は、組長たちが日本のホテルに泊まれない理由と、海外でのシノギの意外な実態を語り出す。
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。日本大学藝術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。
■鈴木智彦氏が毎月のように出演する大反響シリーズ「ヤクザとマネー」のアーカイブ動画はマネーポストWEBプレミアムにて公開中(初回登録月は無料)。
※本記事の作成にあたっては、公開動画の内容をもとに構成しています。

