ヤクザとマネー・マル秘資料編 #4
杳として知れない暴力団の資金源やビジネスの実態を、『サカナとヤクザ』などの著作で次々と明らかにしてきた暴力団取材のエキスパート鈴木智彦氏。長年にわたる取材活動のなかで、日本最大の暴力団組織・山口組に関する様々な警察資料や内部資料を入手してきた。鈴木氏がみずからその貴重な資料について解説した2025年8月のマネーポストWEBプレミアムのライブ配信に、聞き手として週刊ポスト編集長の酒井裕玄が同席した。警察がつくった“名鑑”に続いて鈴木氏が取り出したのは、今度は山口組の側がつくった資料だった。年に1回発行される、山口組の内部名簿である。
「これは年に1回出る名簿で、『住所録』といいます。『三役名簿』なんて呼び方もする。これがあると、たとえば高山(清司)若頭がナンバー2から降りて名誉職みたいになった、というような組織内の変化がわかる。でもナンバー2の実力者だったわけですから組織の中で序列がどう変わったのか、といったことは、実は警察も掴めないんですよ。だから新しいのが出ると重要なんです」
山口組の内部名簿
――名簿というと、住所が大事なのかと思いますが。
「住所が大事なんじゃないんです。順番なんですよ。ヤクザって、全員に順番がある。1番から1000番まで、必ず上下がある。名簿はその序列の順に載っている。つまり掲載順が、そのまま『座布団の順番』なんです」
――住所録の冒頭には「令和3年度の組指針」といった綱領が掲げられています。つまり、これは、年に1回出るものなんですよね。
「そう、年に1回です。毎年出るというのが、実は大事なんですよ。序列がどう変わったか、組織の中の動きって、警察でも分からないんです。でも、これを毎年追っていくと見える。さっき言った高山若頭がナンバー2から降りた、というのも、新しい名簿が出て初めて、外からわかるわけです」
――序列順に並んでいる。ただ……一番上が高山若頭から始まっていて、なぜか司(忍)組長の名前が、ここには無い。
「そうなんです。要するに、六代目山口組イコール司忍組長なんですよ。この名簿は六代目山口組の名簿だから、司組長のことを書く必要がない。表に大きな代紋があるでしょう。あれが今、司さんそのものなんです。だからこれは、その配下にいる人間たちの住所録ということなんですね」
さらに鈴木氏は、名簿に並ぶ住所を手がかりに、事務所の数から組の“体力”の増減までを読み解いてみせる。
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。日本大学藝術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。
■鈴木智彦氏が毎月のように出演する大反響シリーズ「ヤクザとマネー」のアーカイブ動画はマネーポストWEBプレミアムにて公開中(初回登録月は無料)。
※本記事の作成にあたっては、公開動画の内容をもとに構成しています。

