ヤクザとマネー・マル秘資料編 #1
杳として知れない暴力団の資金源やビジネスの実態を、『サカナとヤクザ』などの著作で次々と明らかにしてきた暴力団取材のエキスパート鈴木智彦氏。長年にわたる取材活動のなかで、日本最大の暴力団組織・山口組に関する様々な警察資料や内部資料を入手してきた。鈴木氏がみずからその貴重な資料について解説した2025年8月のマネーポストWEBプレミアムのライブ配信に、聞き手として週刊ポスト編集長の酒井裕玄が同席した。テーマは「ヤクザとマネー ―最強組織・山口組のビジネスモデル」。当初はヤクザマネーの流れを軸に質問を重ねる構成が想定されていたが、鈴木氏が持ち込んだ“現物”を前に、話は資料を一枚ずつ解きほぐしていく1時間へと変わっていく。
――まず、山口組がどういう組織なのか、簡単に教えてください。
「わかりやすく言えば、日本最大の暴力団です。暴力団の2人に1人が山口組、というくらいの寡占状態なんですね。組織の内情はともかく、マスコミ的にも山口組の記事じゃないと引きがない、というくらい極端に注目される組織になっている。
全国に暴力団はたくさんあって、広域組織と呼ばれるものだと住吉会、稲川会、極東会、松葉会あたりも全国展開しています。ただ、規模でも存在感でも山口組が圧倒的で。むしろ山口組が入っていない県のほうが少ないくらいなんですよ」
――そんな山口組が、なぜここまで大きくなったのか。
「一番抗争して、一番たくさん殺してきたからです。暴力団ですから、抗争して組織を拡大してきた歴史がある。だから一番暴力的で、一番殺してきた組織だ、ということですね」
――週刊ポストでも、鈴木さんには山口組の分裂抗争のレポートを何度も書いていただきました。今日は「ヤクザとマネー」ということで質問を色々考えてきたんですが……実は先ほど打ち合わせをしたら、鈴木さんがめちゃくちゃいい資料を持ってきてくださっていて。もう今日は、この資料をつまびらかにしていく1時間にしようかと。
「これですね(と、テーブルに古いファイルを広げる)。五代目時代の“組の要覧”といって、それぞれの時期の幹部の個人データが書いてある警察資料です」
幹部の個人データが書いてある警察資料
――『山口組直系組長要覧』。警察が作ったものなんですね。五代目山口組の発足が1989年だから……もう35年くらい前のものになる。
「そうです。字面からしても、もう相当古いのがわかりますよね。警察資料って、だいたいこのフォーマットになっていて。マグショット、つまり顔写真があって、その横に名前と住所、本籍地。その下に、それぞれの暴力団の経歴と活動状況が書いてある。全部、警察の側が書いているものです」
さらに鈴木氏は、資料に記された五代目山口組・渡辺芳則組長の経歴を読み上げ、公的文書とは思えないような警察の容赦ない筆致を指摘する。
【プロフィール】
鈴木智彦(すずき・ともひこ)/1966年、北海道生まれ。日本大学藝術学部写真学科除籍。雑誌・広告カメラマンを経て、ヤクザ専門誌『実話時代』編集部に入社。『実話時代BULL』編集長を務めたのち、フリーに。著書に『サカナとヤクザ 暴力団の巨大資金源「密漁ビジネス」を追う』(小学館)、『ヤクザと原発 福島第一潜入記』(文春文庫)など多数。
■鈴木智彦氏が毎月のように出演する大反響シリーズ「ヤクザとマネー」のアーカイブ動画はマネーポストWEBプレミアムにて公開中(初回登録月は無料)。
※本記事の作成にあたっては、公開動画の内容をもとに構成しています。

