血のつながった者同士でこの話題に触れられるか
仲の良いきょうだいであっても、いざ遺産相続が始まるとモメるということはよく聞きます。それこそ、「私の方がお父さんの面倒を見ていた!」「いや、オレの方がオヤジと長く一緒に生きていたわけだし、生活が厳しいからそこは平等であってもいいだろ?」なんて話になり、まさに「骨肉の争い」になりかねないわけです。
世の中では、取り分が200万円なのか300万円なのかで絶縁したりするケースもある。そうした事態に陥ることをM氏はなんとしても避けたいのです。両親が亡くなった後、自宅は売却して、現金を得る。M氏の役割はあくまでも調整役で、きょうだい2人の主張を聞き、最適な解決策を見つけることに尽力したいとのこと。
私の場合も、実家の財政状況は似たようなものと推測できるので、遺産に期待はしていません。きょうだいは姉がいるだけですし、その姉夫婦にも自宅がある。特に生活が苦しいわけではないし、2人の息子も社会人になっているため、遺産を期待するような人生を送っているわけでもありません。状況的には遺産でモメることはないように思います。
今回、こうして友人同士だから遺産について、忌憚のない思いを話すことができましたが、果たして血のつながった者同士で、このセンシティブ、かつ他人事ではない話題に触れられるのか。それでも、避けては通れない話なので、高齢の親がいる方は友人と遺産について喋り、予行演習をしておくのも良いかもしれません。私はこの会話以来、自分事として捉えられるようになったので、今度実家に姉も呼んでじっくり話し合おうと考えています。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。