大卒というだけでAI時代に通用するとも思えない
ホワイトカラーの面接では「私は一流大学卒です」「私は留学経験があります」といったことをアピールしがちです。しかし、高卒の人材はそんなアピールはせず「私は頑張って働きます」と言ったうえで、譲れない条件を会社に突き付け、それに合わなかった場合はその会社を蹴ることができる。
AIの進化で社会が変わるとか言われていますが、そんなことは何の関係もなく「現場で働いてくれる人は尊重しなくてはならない」ということの現れでしょう。そのうえで、内定先にしっかり自分の意見を伝えた姿勢も素晴らしい。
東海地方での充実した4ヶ月間の研修生活を過ごしてきた彼は、お盆の一族の会で、今後の仕事を通して、地元・唐津に貢献することを宣言。将来は愛する女性と出会い、結婚をして我が子を育てながら、一生懸命働く人生に突入することでしょう。自動車はすでに免許取得後に父親が買い与えています。
こうした姿を目の当たりにして、いろいろと考えさせられるところがあります。研究者志望の方は別にしても、18~22歳で大学生活を送るのが果たして正解なのか。高校を卒業して当たり前のように大学に行くのではなく、現場に入って仕事をする方が一生の安泰に繋がるのでは?と思わされたのですね。もちろん大学に進学することで得られる縁はあるでしょうが、もはや大卒という学歴だけでAI時代に通用するとも思えない。
むしろ、さっさと18歳から現場で揉まれ、20歳になった時は仕事人としてそれなりの立派な人物になった方がいいのかな、と彼の姿を見て思ったのです。彼の弟は高校3年生ですが、来年からは「自衛隊に入りたい」と言ってます。これもまた素晴らしいキャリアになるのでは、なんてことをホワイトカラーであり続けた私は思う次第です。
都会のホワイトカラーがとかく揶揄しがちな「マイルドヤンキー」的な文化こそ、案外人生の幸せにつながるのかな、ということ。地方に住むとこういった方々との交流が増えますが、生き方に迷いがない。「私は高校卒業してすぐ働き、若くして結婚して子供を3人以上育て、じいじとばあばと妻とともに幸せに生きる!」といった決意を表明され、すがすがしい思いをすることがあるのですよ。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。