結果として皆が食事を多めに注文するようになり…
続いてのセコい人は、ソフトドリンク男です。記事の冒頭で、私が幹事の時は酒を飲まない人の会計には配慮をする、と書きましたが、「とにかく食いまくるソフトドリンク男」というのがいたのです。酒を飲む人は出てきたつまみを少しずつ食べ、酒をその合間に一口、といった感じなのですが、ソフトドリンク男は出てきた焼きそばを半分、一気に自分の取り皿に入れて猛烈な勢いで食べる。10本の焼き鳥盛り合わせにしても、5人いるのに1人で6本食べてしまう。
「オレは皆さんと違って酒は飲まないのでメシが必要なんですよ~」なんて言う。すると不思議な現象が発生するんですよ。彼にメシを食べ尽くされないよう、皆が食事を多めに注文するようになる。焼き鳥は20本、フライドポテトは2つ、揚げ出し豆腐も2つ、といった形で、本来の単位の2倍で頼むようになってしまう。
そこから先、飲み会は「割り勘負けをしない合戦」のような状況になりました。酒を飲む人もつまみが多いものだからピッチが速くなっていき、バンバン酒を頼む。本来は1人4500円ほどで済む店なのに、あまりにも食べ物と飲み物を頼み過ぎたせいで1人6000円になってしまう。すべては酒を飲まない大食漢のペースに負けじとばかりに皆がケチ根性を出したせいです。
そしてもう一人、セコいヤツとして思い出すのは、私よりも5歳ほど年下のフリーランスの男。「フリーランスの先輩と一緒に飲みたいんです!」と言ってきました。それくらい構わないですよ。そして会計の段になったら財布を開け「あーっ! 今日はお金がないです!」と言う。当時はまだPayPayなどがない時代だったので、もう諦めざるを得なかった。
ただし、この段階で「一生この男とは会わねぇぞ」ということは決めました。彼はお金を失うことはなかったかもしれませんが、私からの信頼を失ったわけです。今、彼の名前を検索すると、パッとした人生は送っていないようです。性格が悪いと言われるかもしれませんが、ざまぁみろの思いです。
「あなたのそのセコさが、結局人徳を失うことにつながったんだよ。仁義を欠いて数千円のカネをケチると、長い人生において何千万円ものカネを失う結果に繋がるんだよ」と、この場では言っておきましょう。
【プロフィール】
中川淳一郎(なかがわ・じゅんいちろう)/1973年生まれ。ネットニュース編集者、ライター。一橋大学卒業後、大手広告会社に入社。企業のPR業務などに携わり2001年に退社。その後は多くのニュースサイトにネットニュース編集者として関わり、2020年8月をもってセミリタイア。著書に『ウェブはバカと暇人のもの』(光文社新書)、『縁の切り方』(小学館新書)など。最新刊は『それってホントに「勝ち組」ですか? 現代格差の読み解き方』(鹿砦社)。