今年6月に開院した「にしたんARTクリニック」名古屋栄院
19年経ってからの「ありがとう」
先ほど、M&Aで引き継いだ院には反発もあったと言いましたが、その院で治療を受けた患者さまから連絡をいただいたことがあります。
その方は結婚して12年間、子供を授かることができなかった。最後の望みを託してそのクリニックで治療を受けて、ようやく娘さんを授かったそうです。そして、19年後に娘さんが結婚した。「子育てをするという宝物を与えてもらった。そのうえ、その娘が結婚式まで迎えることができた」という言葉をいただいたんですね。
考えてみれば、19年前に入った定食屋さんで、「あの時食べた定食がおいしかった」なんて連絡することはないじゃないですか。でも、この仕事では19年経ってから「ありがとう」と言ってもらえることがある。
一つの命が生まれて、その子が育って、結婚して、また新しい家庭をつくっていく。そこまで長い時間、人の人生に関われる仕事ってなかなかないですよ。そういう思いに共感してくれる医師やスタッフが集まってくれています。
(第3回へ続く)
【プロフィール】
西村誠司(にしむら・せいじ)/1970年、愛知県生まれ。海外用Wi-Fiレンタルサービス「イモトのWiFi」、美容内科「にしたんクリニック」などを展開するエクスコムグローバル代表取締役社長。2022年に不妊治療専門の「にしたんARTクリニック」を開業。2025年に北海道東川町の地方創生アドバイザーに就任。
撮影/土岡虎太郎
※週刊ポスト2026年9月25日・10月2日号
