天然記念物に指定されている奈良公園の鹿(写真:イメージマート)
奈良公園の鹿は天然記念物として保護の対象になっている。どういった法律で守られており、処罰の対象になるのはどんな行為か。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
お盆休みに、奈良に転勤した友人を訪ね、レンタカーで市内を回ったのですが、道路上で寝そべる鹿を発見! クラクションを鳴らし、どかそうとすると友人が「奈良の鹿は天然記念物。脅かしてはダメだ」というのです。だけど、その鹿のせいで渋滞が発生していましたし、それでも見守るしかないのですか。
【回答】
『文化財保護法』では、学術上価値の高い動植物のうち、重要なものが天然記念物に指定されています。奈良公園の鹿は天然記念物として同法で保護され、衰亡させると5年以下の拘禁刑、あるいは100万円以下の罰金、保存に影響する行為だと50万円以下の罰金で処罰されますが、個々の鹿への加害行為は該当しません。
以前、奈良公園の鹿に農作物を荒らされた人が春日大社に損害賠償を求めた裁判で、同神社が鹿の所有者だと認定し、責任を認めた地裁判決がありました。仮に鹿が人の管理下にある動物なら『動物愛護法』の愛護動物になり、ケガをさせると5年以下の拘禁刑か、500万円以下の罰金が科され、そのおそれのある行為でも1年以下の拘禁刑、又は100万円以下の罰金で処罰されます。
