勝手に使って大丈夫なのか?(イラスト/大野文彰)
商標権や著作権をめぐるトラブルが後を絶たない。どこからが違法なのかの線引きが素人には難しいことも背景にある。では、歌手の名前や曲名を飲食店の店名にするのはこれらの権利の侵害にあたるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
定年退職後に飲食店を経営したいと思っています。BGMは昭和に流行った歌謡曲をレコードで流すつもりです。店名は好きな歌手の「下の名前」&ヒット曲のタイトルにしようと考えています。
その店名で求人広告を出したり、看板やチラシ、グッズとしてマッチやコースターなどを制作したら、商標権や著作権の侵害など法に触れるのでしょうか。教えてください。(秋田県・会社員・64才女性)
【回答】
まずBGMですが、歌謡曲は著作権法で保護される著作物で、レコードはその歌唱を録音したものです。音楽著作権者は、音楽を公衆に聞かせる目的で演奏(歌唱も含む)する権利を専有します。専有ですから、他人は著作権者の許可なく演奏できません。録音された音源の再生も演奏にあたるため、レコードをかけて音楽を流すと“演奏したこと”になります”
そして「公衆」とは不特定の人のことです。結局、店に来る不特定の客に聞かせることを目的にBGMとしてレコードをかけるためには、著作権者の許可が必要です。音楽著作権者から管理を委託されているJASRACに利用の相談をしてください。ただし、曲の著作者が死亡した年の翌年の1月1日から70年が経過すると、著作権は消滅するので、許可は不要です。
