災害時の残業代はどうなるのか(写真:イメージマート)
時間外労働に関する主なルールは「労働基準法」で定められている。では、災害が起きたときなどの非常時には、どのようなルールが適用されるのか。実際の法律相談に回答する形で弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
令和8年熊本地震で、甥が被災しました。甥は市内の会社に勤めており、1か月経った今も処理しなければいけないことが多く、時間外労働を強いられているそうです。そんな甥に時間外労働分はメモしておいたほうがいいと伝えていますが、落ち着きを取り戻したら、会社に対して残業代を請求できますか。
【回答】
労働者には原則として残業の義務はありませんが、『労働基準法』に2つの例外が定められています。まず、36条に基づき、会社と労働組合や職場の過半数の労働者代表との間で、書面において労働時間の延長や休日労働に関する協定を締結し、労基署に届け出た場合です。これをサブロク(36)協定といい、普通、残業や休日労働は、この協定に基づきます。
もうひとつの例外が、33条の定める「災害その他避けることのできない事由によって、臨時の必要がある場合」の残業となります。地震、津波、風水害、雪害、爆発、火災等の災害への対応、急病への対応、その他の人命、又は公益を保護するために必要なとき、会社は労基署の許可を得て、時間外労働を命じることができます。
ご質問は、この災害時の時間外労働となり、緊急事態のため事前に許可を受ける暇がないときは、後で遅滞なく届け出ればよいのですが、時間外労働が不適当と判断されると代替の休憩時間や休日の付与が命じられます。
