急激な体重減少には注意が必要(写真:イメージマート)
長寿社会の今、人生の明暗は現役時代ではなく「老後」にこそ分かれる。だが、老後生活の天国と地獄を分ける境界線は、実に見えづらい所に潜んでいる。そこにある健康面での落とし穴を可視化していく。
「痩せて良かった」は危険
長年にわたりリタイア後の患者を診てきた秋津医院院長の秋津嘉男医師が指摘する。
「定年後は人生の第二ステージの始まりです。まだ夫婦とも元気で旅行に行ける反面、体の内側は少しずつ以前と同じではいられなくなります。疲れやすくなる、外出が少なくなるなど、“小さな変化”が生じる時期でもあります」
体の変化に加えて定年や再雇用、子供の独立といった環境の変化が生じる。特に退職後は仕事がなくなるだけでなく、毎日の通勤や会社による健康管理、人と交流する機会などがなくなり、日常生活のリズムが大きく変わる。こうした変化の積み重ねにどのように対応するかが老後の暮らしを大きく左右するのだ。
「定年後に生じる様々な“兆候”に対して間違った選択を重ねると、その後の人生の選択肢を失いかねません」(秋津医師)
「しくじり老後」と、「ととのう老後」に分けるポイントを以下に見ていく。健康面ではまず「体重」に注意したい。退職後に体重が減った時、「痩せて良かった」と喜ぶのは早計だ。
「太らないようダイエットに励む人は多いですが、急激な体重減少にはがんなどの大病が潜んでいるかもしれない。体重が昔から変わらなくても年齢を重ねると筋肉が落ちた分脂肪が増え、生活習慣病のリスクが高まる恐れもあります」(同前)
さらに「体重は何キロか」だけでなく、「以前の自分との違い」を日々チェックすることも求められる。
「体重だけでなく体温、血圧、胸囲や腹囲などを定期的に確認したい。単発の数字で一喜一憂することなく大きな流れを確認し、気になる変化があれば1~2か月分の記録を携えて受診するといいでしょう」(同前)
