自分だけは騙されないと思っていても…(写真:イメージマート)
次々と新しい手口が登場する特殊詐欺。2025年末から急増しているといわれるのが「ニセ社長詐欺」だ。2026年1~6月で認知件数が127件、被害額は約38億8000万円にものぼっていると9月に公表され、ネットをざわつかせた(警察庁「令和8年上半期における サイバー空間をめぐる脅威の情勢等について」調べ)。「ニセ社長」のリアルな手口について、ITジャーナリストの高橋暁子さんに聞いた。【ニセ社長詐欺の実態と進化・前後編の前編】
「グループLINEを作成してQRコードを送って」
メールがきっかけで始まる「ニセ社長詐欺」。高橋さんによれば、ほかのメール詐欺より被害が大きくなりやすいという。
「社長になりすまして経営層や従業員にメールを送り、最終的には不正送金をさせる詐欺メールの一種です。被害が発生すると、法人なので大きな金額になりがちです」(高橋さん、以下同)
社長のなりすましは難しいのではないかと思うが、「簡単ですよ」と高橋さんは言う。
「たいていの会社がホームページやSNSに住所や連絡先、メールアドレスなどの情報を掲載しています。代表者だけでなく経営幹部についても氏名だけでなく顔、年齢、経歴や趣味など、さまざまな情報が公開されていることが多い。それらの情報から得意先企業や担当者名が分かるので、もっともらしいメールをつくることができます」(高橋さん、「」内以下同)
具体的には、どんなメールなのか。
「シンプルな例だと、社長の名前で『緊急に事業資金が必要なので取引先への支払いを代行してほしい』『この口座番号に至急、○○○万円を振り込んで』というメールが送られてきます。以前からあるオレオレ詐欺の手口に似ているので、あやしいと気づく人もいますが、社長の名前がフルネームで正確に書かれていると、信じる人が一定数います」
