実体経済の現場で何が起きているのか
アナリストの中には「今はブームだが、指標面を見る限りバブルとは断言できない」とする強気な意見もあります。たとえば米国株式市場全体の株価収益率(PER)は、ITバブル期のような極端な水準には達していないという分析もあります。
しかし、「バブルかどうかは結局、将来、企業の収益が本当に伸びるか次第」という指摘が的確であるように思います。要は、この先AI 関連企業が期待どおりに稼げるようになるかが、試されている段階なのです。
では、実体経済の現場では何が起きているのでしょうか?
新川が経営する半導体商社トナリズムでは、日々の半導体需給を顧客と半導体メーカーの双方から肌で感じることができます。たとえば、汎用メモリであるDRAMの納期が延びる局面では、各メモリメーカーが生成AI向けのHBM(高帯域幅メモリ)の製造にリソースを集中させていることが読み取れます(DRAMよりも需要があり、より儲かるHBMの製造を優先しているということです)。
そして、生成AIの登場以降、新川はこうした状況を何度も目にしてきました。少なくとも、半導体メーカーや製造装置メーカーにおいては、生成AI向け需要が実際に業績を押し上げている手応えを、現場レベルでも明確に感じているわけです。
いずれにせよ、過度な期待だけが先行する相場には注意が必要です。歴史が示すように、ブームに浮かれて実態とかけ離れた高値を追いかけると、いざ熱が冷めたときには大きな調整が訪れかねません。
実際、2025年以降はAI株の物色にもやや選別色が出てきた印象があります。確かな技術力や収益基盤を持つ企業は引き続き評価される一方で、単なる話題性だけの銘柄は伸び悩む場面も見られるようになってきました。