ニッチ分野で世界トップシェア&高収益を実現した日本企業
次に、ダイシング装置です。ダイシングとは完成した半導体チップをシリコンウェーハから切り離す工程のことで、ダイヤモンドブレードでウェーハを碁盤目状に切断します。
この装置では日本のディスコが圧倒的トップ企業です。ディスコのダイシングソーは世界シェア7~8割、関連する研削装置(バックグラインダー)でも6~7割という圧倒的なシェアを持ち、世界中の半導体の後工程ラインに不可欠な存在となっています。同社は戦前に砥石メーカーとして創業しましたが、「Kiru(切る)・Kezuru(削る)・Migaku(磨く)」技術ひと筋に磨きをかけ、ニッチ分野での世界トップシェアと高収益を実現した偉大な企業です。
主要な半導体製造工程を工程ごとに見ていくと、驚くほど多くの日本企業がかかわっていることがわかります。
継続的に収益を生む“ストック型ビジネス”
半導体製造装置は高度な精密機械産業であり、設計・製造には巨額の投資と長年の技術の蓄積が不可欠です。日本のメーカーは粘り強い研究開発と顧客工場との密接な共同開発を積み重ねることで、高い信頼を獲得し、一度確立したシェアを長期間にわたり維持してきました。
その結果、装置本体に加えて保守サービスや消耗品が継続的に収益を生む“ストック型ビジネス”が成立しており、東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREENホールディングス、KOKUSAI ELECTRICなどは、世界の半導体装置メーカーのランキングでも常に上位に名を連ねています。
「日本の半導体は終わった」などと揶揄されることがありますが、それは完成品の半導体チップの話であり、実際にはチップを製造するために不可欠な装置・材料の領域で日本企業は今も圧倒的な存在感を発揮しています。
半導体装置がなければ、半導体チップは1枚もつくれないことを考えれば、日本は今なお、半導体産業の中核を支える重要なプレーヤーであり続けているといえるでしょう。
これは裏を返せば、日本の各社がグローバル・ニッチトップとして強固な競争優位と価格決定力を持ち、今後の半導体需要拡大とともに、安定した成長が期待できることを意味します。