責任はだれが負う?(イラスト/大野文彰)
高齢者にとって「階段」は、時に危険を伴うものだ。踏み外してけがをしてしまうことも十分に考えられる。では、ある店舗に向かうための階段でけがをした場合、店舗側に責任は生じるのだろうか。実際の法律相談に回答する形で、弁護士の竹下正己氏が解説する。
【相談】
夫は美容室を経営しています。店舗はビルの2階にありますが、近年、なじみのお客さんが高齢になってきたため、階段や廊下に手すりをつけたり、「足元にご注意ください」と張り紙をしたりしています。
万が一、お客さんが階段で転んだり落ちたりしてけがをした場合、どれくらいの責任を負うことになりますか。教えてください。(新潟県・67才・主婦)
【回答】
ビルの2階を借用しているのか、自己所有ビルの2階に店があるのかで対応が異なります。ここでは2階を「借りている」ケースで検討します。
階段での事故の責任については、その原因に基づいて判断されます。階段が本来備えておくべき安全性の欠陥(瑕疵)があった場合の責任を問題にする考えと、顧客の安全に配慮する義務の怠りを問題にする考えがあります。
例えば階段の踏面が狭いなど、建築基準法などの法令上の基準を満たしていない場合には、階段に瑕疵があります。それが原因で転んでけがをすれば、建物の瑕疵の責任が問題になり、階段を客に使わせている美容室が占有者として責任を問われます。
