代々木ゼミナールが予備校として大切にしている方針とは(時事通信フォト)
少子化が急速に進み、高校・大学ともに「受験を突破して進学する」という構図が変わりつつある。大学入試は多様化し、推薦や総合型選抜で進学する学生も増加。一般選抜を一度も経験せずに大学へ進むケースも珍しくなくなった。では、受験のハードルが下がる時代に、子どもたちは何を目標に勉強すればいいのか。そして、学校と予備校はどんな役割を担うべきなのか。『大学受験 活動実績はゼロでいい 推薦入試の合格法』が話題のノンフィクションライター・杉浦由美子氏がレポートする。【日本の学校と予備校の未来・前後編の後編】
少子化で「受験しなくても進学できる」時代に
コロナ禍で日本の少子化は加速した。2025年の出生数は67万1236人だ。2015年は100万5677人だったことを考えるといかに急速に子供が減っているか分かる。
前回は地方の公立高校の定員割れが進んでいる様子や学校文化について、そして、代々木ゼミナールが学校経営に乗り出さない理由について言及した。学校の持つ豊かな文化はそうそう簡単に作れるものではないからという。少子化で受験が楽になっている今、子供の学力をどうやって伸ばしていくべきか。また、今後の予備校の役割はどうなるのか。学校法人高宮学園代々木ゼミナール副理事長でSAPIX YOZEMI GROUP共同代表の高宮敏郎氏の話を交えながら考察していく。
大学入試のハードルが下がっている
現在、大学の入試はいくつあるのか。調べてみると2025年で約7万8000、私立大学は1大学あたり平均115の入試を行っている。年内の指定校推薦、総合型選抜など、様々なタイプの入試がある。ペーパーの学科試験を重視するものもあれば、活動実績を重視するものもある。大学によっては500を超える。
入学者数を入試の数で割ると、平均8.1人。つまり、一つの入試で入学する人数の平均はこの数になる。
少子化に加え、大学入試の数や種類が増え、合格のハードルは以前より下がっている。2026年の首都圏私大入試が厳しくなった背景として、大学側の定員管理も指摘されている。私立大学では、在籍学生数が「収容定員」に対して一定割合を超えると、国の経常費補助金が不交付になる制度があり、合格者を絞りこんだためだ。この調整も今後は落ち着いてくるだろう。いかんせん少子化は国の予想をはるかに超える速度で進んでいる。
高校無償化の影響で、私立高校の人気が高まり、単願の推薦入試での私立高校への進学が増えている。一般入試を受験せず、早めに進学先を決めるのだ。
大学入試も同じになっている。2025年に大学進学した入学者のうち、一般選抜を受験したのは39.7%。つまり、6割が年内の推薦・総合型選抜で大学に進学している。中には高校も大学も推薦で進学し、一度もペーパー試験の一般入試を受験せず大学へ進学する学生も多くなっている。
「受験があるから頑張って勉強しよう」と高校生も中学生も思えない時代になってきているのだ。
