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「年金75歳受給論」安倍政権維持に向けた霞が関との手打ちか

「支え手」とは、74歳までは年金を受け取る側ではなく、保険料を支払う側になってもらうという意味に他ならない。まさに75歳受給開始そのものではないか。

 こうした安倍政権の「高齢者からの絞り取り」政策を後押ししているのが財務省と厚労省だ。自民党一億総活躍推進本部は顧問に野田毅・代議士、事務局長でシニアの働き方PT座長が片山さつき・代議士と財務省OBが主要ポストに座っている。財務官僚がこう言う。

「安倍政権の一億総活躍社会とは、本来、高齢者に元気で働いてもらって年金や医療費の国庫負担を抑え、女性の社会進出を促すことで年金と健康保険の担い手になってもらう財政政策だ。それを政治的には国民の批判を招かないように女性が輝く社会、誰もが活躍できる一億総活躍社会と言葉を飾っていた」

財務官僚が仕掛けた

 年金財源に苦しむ厚労省も願ったり叶ったりだ。実は、年金75歳選択受給は3年前、時の田村憲久・厚労相が言及してバッシングを浴びた経緯がある。

「自分がいつまで働けるか、状況を見ながら支給開始年齢を選ぶことは自分の意思でできる。今も70歳までは選択できるが、これを75歳まで選択制で選べる案が与党から出されていて、ひとつの提案だと認識している」

 田村氏が2014年5月11日のNHK討論で発言すると、メディアで「75歳で割り増し年金をもらっても使うところがない」「最初は選択制で国民に慣れさせ、本格的に年金支給開始年齢を引き上げる布石」といった批判が高まり、厚労省は断念したかに見えた。

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