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年金75歳受給開始で夫婦の総受給額は2655万円減る

 この年金改悪で国民の老後の資金はいくら奪われるのか。夫婦2人の標準モデル(年金月額約22万1277円)で計算すると、現在65歳の年金受給開始年齢が「70歳」まで引き上げられた場合、年金総額は約1327万円減らされ、「75歳受給」ならその2倍、2655万円がもらえなくなる。

 日本の個人金融資産1800兆円(2016年末)のうち6割を高齢者が保有し、世帯主が60代の世帯が「老後のため」と蓄えた貯蓄は平均2312万円(家計調査)ある。年金75歳受給とは、高齢者が75歳まで働かないなら所有する金融資産を年金の代わりに75歳までの生活費に使い切って“老前破産”するしかないという政策なのである。

 無論、そんなことを正直に言えば与党は選挙で惨敗するだろう。だからまず「選択制」で年金受給開始を75歳まで遅らせ、「長く働いて年金を我慢すれば、割り増し年金をもらえる」と甘い言葉を囁いているのだ。

 現在の制度では「70歳受給」を選択すれば夫婦で平均約22万円(年間約266万円)の年金額が、割り増しで377万円まで増える。加算割合が同じなら「75歳受給」を選択すれば年金額は約489万円にアップすることになる。

「年金だけで年収はざっと500万円」というニンジンをぶら下げられたら、“体も健康だし、働けるだけ働いて年金を我慢しよう”と考える高齢者は少なくないはずだ。

 しかし、騙されてはいけない。受給開始年齢を「65歳」「70歳」「75歳」の3つのパターンで選択した場合、現役時代に支払った年金保険料の総額を何年で取り戻せるかを北村氏監修のもとシミュレーションした。

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