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森永卓郎氏が解説 安倍首相の「3回目の消費税凍結」の現実味

「消費増税凍結+2兆円財政出動」でデフレ脱却へ

 総選挙の期間中も、安倍総理は消費増税に関して、「リーマンショック級の経済危機が訪れれば、凍結も考える」と伏線を張っていた。足元の株価の好調さなどを考えれば、そんな事態は起きないと思っている人が多いはずだ。だが、2018年にも経済危機は起こりうる。それが都心不動産と株価のバブル崩壊だ。

 そして、その危機の際に、安倍総理は3回目の消費税凍結という秘策を打ち出すと見ているのである。日経平均が1万8000円台まで下落すれば、それは消費増税凍結の十分な口実となり得るからだ。

 デフレ脱却の一番の処方箋は、消費税率を8%から5%に戻すことだろう。それは安倍総理もわかっているはずだが、自身の悲願である憲法改正を進めるためにあえて無理をせず、次善の策である凍結を選択するというのが私の想定シナリオだ。とはいえ、今回は過去2回の凍結より経済効果は大きくなる。単なる凍結だけではなく、それに教育無償化を目的とした2兆円の財政出動がプラスされる見通しだからだ。そのため、日本経済がデフレ脱却に向けて本格的に動き始める可能性は大きいと見ている。

 準備期間を考えると、安倍総理は2019年4月までにタイミングを見計らって凍結を表明する。それまでに国会で改憲議論を進めていって、凍結表明の直後ぐらいに憲法改正の発議を行なって国民投票を仕かける。それが、安倍総理が一番理想的だと思い描くシナリオではないか。

「消費増税凍結+2兆円財政出動」でデフレ脱却に向かえば、値下がりした株価は再び上昇基調に入る。デフレ脱却で経済が拡大すれば、GDPが増えるため、株価の時価総額とGDPの比較で割高・割安を判断する指標である「バフェット指数」から見ても割高感はなくなり、先高感が膨らんでいく。欧米の株式市場はすでに史上最高値を更新している一方で、日本株はまだ史上最高値の3分の2の水準に達したに過ぎないが、そうなればいよいよ最高値更新に向かう大相場が到来してもおかしくない。

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