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費用対効果の高いがん手術と低いがん手術の見分け方

がん治療の切り札

 がんの種類によっては、“手術をしない”という選択もあり得る。

「日本では前立腺がんが見つかってすぐに腹腔鏡手術をするケースが増えていますが、前立腺がんは進行が遅いため、海外では監視療法といって治療をせずに定期的な検査をして様子を見守るケースが増えてきています。本当にすぐ手術を受ける必要があるかどうか、よく考えてから判断すべきです」(医療経済ジャーナリストの室井一辰氏)

 がん治療の切り札として取り上げられることが多い重粒子線や陽子線などの「粒子線治療」はどうか。

「治療費は1回300万円前後で保険外適用の全額自己負担。しかも全国に陽子線施設は14か所、重粒子線施設は6か所しかないため、交通費・滞在費の負担も考慮する必要があります」(前出・室井氏)

 それでも注目が集まるのは、粒子線治療は一般の放射線治療よりもピンポイントでがん細胞を狙えるため、副作用が少ないとされているからだ。ただし、その効果には、学会から疑義も呈されている。

「2015年8月、厚労省の先端医療会議で日本放射線腫瘍学会から通常の手術や放射線治療との差が認められないという報告がなされ、エビデンスに疑問がある状態が続いています。現状では、それほど高額な負担に見合う治療なのかどうか、よく検討したいところです」(同前)

 医療費の見直しとは、病院や医者の言いなりでなく、自らが主体性をもって効果的な治療を選択するということでもある。

※週刊ポスト2018年4月20日号

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