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キャリア

定年後は自宅売却して老人ホーム入居…、そこに潜む罠と期待外れぶり

「自宅売却で老人ホーム入居」に潜む落とし穴とは(イメージ)

 定年後は、住み慣れたわが家で終生を過ごすか、老人ホームなどの施設に入所するかの選択を迫られる。王道とされるのは、「マイホームを手放して老人ホームに入居」することだ。国はこの流れを奨励している。

 たとえば国土交通省の「住宅流通循環促進事業」では、民間業者と協力して、高齢者がマイホームを子育て世帯などに売却・賃貸して老人ホームなどに住み替えることを手助けする。

 また一般社団法人移住・住みかえ支援機構は「マイホーム借上げ制度」を展開。一軒家や持ち家を保有する50歳以上を対象に、同機構がその不動産を借り上げて第三者に転貸する制度で、借主が見つからなくても家賃が保障されるなどのメリットがある。この制度で得られる家賃収入も老人ホームなどの施設への入居費用に使うことが期待される。

 だが双方とも、「得られるお金は期待外れです」と指摘するのは、介護アドバイザーの横井孝治氏だ。

「マイホームを売却しても、都心以外の平凡な一戸建ては建物の価値がほぼゼロで、土地代の1000万円程度が入るだけです。借り上げ制度では賃料が相場より3~4割も低い上、耐震基準に達しないと自前の補強工事をする必要があります」

 自宅の売却益、賃貸益ともに民間の老人施設の入居に必要な資金には遠く及ばないと横井氏が続ける。

「民間の有料老人ホームなどでは、安くても入居一時金が数百万円、月々の費用は15万~30万円かかります。安心して施設を利用するには2000万円ぐらい用意しておきたいところです」

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