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ミスできない相続の家族会議 “議長”より重要なのは会場と議事録作成者

何から話し始めたらいいか

 いきなり「相続」というテーマから始めると、親が気分を害する場合もあるので要注意だ。「墓や仏壇の管理をどうするか」「介護が必要になったらどうするか」といった話で、親に会議の開催を説得したケースであればなおさらである。

 話し合いのなかで場がほぐれてきたら、本題の遺産相続に入ればいい。議長は自分の意見を言うより、参加者の意見を聞くことに徹したい。1回の会議ですべて決めようとせず、腰を据えて何度か会議を開くつもりで取り組む。

 特に財産に不動産がある場合は、分け方が複雑になる。売って現金に換え、兄妹で平等に分けることもあれば、介護などを理由に分配の割合に差をつける場合もあり、みな意見が異なるはずだ。

「最初の段階では、財産の分割案を大まかに3パターンほどつくって検討するといい。叩き台が1つしかないと、結論ありきの議論になって後に不満が出るリスクがあります」(北村氏)

反対する人がいたらどうすればいい?

 概ね方向性が見えてきた中、強硬に財産の分配方法などに反対する出席者がいたら、多数決で押し切らずに次回の会議に持ち越すのも手である。相続は“全員一致”にならないと効力を持ち得ない。

「1回で決めようとすると、『あのとき無理矢理決めさせられたけど、やっぱり納得いかない』と親の死後に揉めるパターンもある。そういった議題は次回に持ち越し、その間に親に反対者を説得してくれるように頼んでみると良いでしょう。

『私の死後に子供たちが争っていることを考えると浮かばれない』と親に言われたら、考え直してくれる子もいるでしょう」(五十嵐氏)

※週刊ポスト2018年6月15日号

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