田代尚機のチャイナ・リサーチ

日本の製造業が誇る「世界で圧倒的優位に立つ」技術力とは

 たとえば、日本の精密加工技術は特に優れており、軍事技術、航空宇宙技術に関しては日本の技術なしには成り立たない。また、自動車部品をみると、空調圧縮機、ターボ装置、自動変速機、電子制御、通信システムなどは、世界各国が日本メーカーの製品を採用している。半導体、エンジン制御システム、ABS、エアバッグなどの部品でも絶対的な優位性を持っている。

 そのほか、F22戦闘機に使われる特殊塗料、宇宙船に使われる高強度の炭素複合繊維、高速鉄道列車に使われる緩むことのないナット、超微細金属切削技術、超微細光学機器、原子時計……など、日本は世界で圧倒的に高い技術を数多く持っている。

 ここで示した技術は簡単に得られるものではなく、その点で、日本の製造業は質の点では世界トップ水準であると評価している。

 こうした中国からの評価を引用するまでもなく、日本の技術力は依然として健在である。投資家の立場から少しだけ苦言を言えば、そうしたすごい技術があるなら、それをもっと活かし、収益につながる形で価値を最大化してもらいたい。その能力を、モノづくりだけにとどめず、商売に生かし、事業規模を拡大し、利益を上げることにも使ってもらいたい。そうすれば、バブル崩壊後30年近く続く名目GDPの長期停滞を打破することができるはずだ。

文■田代尚機(たしろ・なおき):1958年生まれ。大和総研で北京駐在アナリストとして活躍後、内藤証券中国部長に。現在は中国株ビジネスのコンサルティングなどを行うTS・チャイナ・リサーチ代表。ブログ「中国株なら俺に聞け!!」、メルマガ「週刊中国株投資戦略レポート」も展開中。

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