ビジネス

安倍首相 トランプ大統領から巨額「拉致口利き料」迫られる

 しかし、トランプ氏の仲介が北朝鮮にどの程度届いたかは疑問がある。安倍首相はトランプ氏から電話で米朝首脳会談の説明を受けた。産経新聞は日本政府高官の話として、〈金正恩朝鮮労働党委員長は拉致問題に関するトランプ氏の話を「よく聞いていた」という〉(6月13日付)と報じた。トランプ氏が拉致問題を持ち出せば、金正恩も話くらい聞くだろう。だが、その程度で数十億ドル(数千億円)の口利き料とはボッタクリにも程がある。

 いったい、首相は何を買うと約束したのか。自民党防衛族議員はこう見る。

「トランプ氏があげた『戦闘機』とはおそらくF35ステルス戦闘機だ。日本はすでに42機の導入を決めているが、防衛省にはさらに20機の追加購入を検討している。1機約130億円、20機なら追加分だけで2600億円になる」

 もうひとつの「ボーイング」という言葉からは、新型政府専用機が浮かぶ。政府は現行のジャンボ機(747)を今年いっぱいで退役させることを決め、ボーイング777-300ERを2機(1355億円。5年払い)、導入するからだ。「現在はスイスで内装を改装中。今年8月に1号機、12月に2号機が納入される予定です」(航空自衛隊広報室)という。

 もっとも、新型政府専用機2機はすでに購入済み。トランプ氏がいうボーイングは別の兵器だという指摘がある。米国の軍事産業と太いパイプがある日本の防衛商社幹部が語る。

「ボーイングが力を入れているのは航空機に搭載して弾道ミサイルを迎撃するレーザー兵器『エアボーン・レーザー(ABL)』の開発。カネがかかり過ぎるという理由で国防総省が凍結したが、日本の資金で開発を再開したい。

 もう一つは、『グラウンド・ベース』だろう。日本が導入する『イージス・アショア』(地上配備型迎撃ミサイル)より、もっと低い高度を射程とする地上配備型の迎撃システムで、米軍事産業から先日、売り込みたいというオーダーがあった」

 確かに、トランプ氏は来日時に「F35は最高の戦闘機、米国は様々なミサイルも製造している。(日本が買えば)米国に多くの雇用が生まれるし、日本が安全になる」と語るなどミサイル売り込みにも熱心だった。

 日本国民の税金を基にした、米国の特需は始まっている。

※週刊ポスト2018年6月29日号

関連キーワード

注目TOPIC

当サイトに記載されている内容はあくまでも投資の参考にしていただくためのものであり、実際の投資にあたっては読者ご自身の判断と責任において行って下さいますよう、お願い致します。 当サイトの掲載情報は細心の注意を払っておりますが、記載される全ての情報の正確性を保証するものではありません。万が一、トラブル等の損失が被っても損害等の保証は一切行っておりませんので、予めご了承下さい。