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大前研一「ビジネス新大陸」の歩き方

日立とトヨタ、大転換の背景にある「同じ根っこ」の問題

ソフトバンクとの事業提携を発表したトヨタ自動車(写真:時事通信フォト)

 日立製作所とトヨタ自動車。日本を代表する2つの巨大企業が、いま大きなターニングポイントを迎えている。岐路に立つ両社の大転換だが、「実は同根である」と指摘するのは、経営コンサルタントの大前研一氏だ。以下、大前氏が解説する。

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 日立製作所は9月下旬、テレビの国内販売から撤退し、競合メーカーであるソニーのテレビを系列販売店で扱うと発表した。

 同じく9月下旬、トヨタ自動車は60年以上続けてきたトヨタ店やトヨペット店などの販売チャネルを事実上一本化し、全車種を2025年をめどに国内約5000全店舗で売る方針を固めたと報じられた。

 さらにトヨタは10月上旬、ソフトバンクと配車サービスや自動運転車を使った移動サービス事業で提携し、新会社「モネテクノロジーズ(MONET Technologies)」を設立して2018年度内をめどに共同事業を開始すると発表した。

 家電と自動車で日本を代表する企業が今、大きなターニングポイントを迎えているのだ。一見、無関係に思える日立とトヨタの大転換だが、これは実は同根である。どういうことか?

 まず、日立などの家電メーカーは、自社製品を売るために系列の販売店網を作ってテレビやエアコン、洗濯機、冷蔵庫、掃除機から電球、電池までフルセットで製品を供給し、コストをかけて維持してきた。

 しかし、量販店が台頭し、さらにネット通販が登場して“街の電器屋さん”に来るお客はどんどん少なくなった。いま彼らが主に何で食べているかというと、近所の家庭の家電製品の「出張修理」である。

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