キャリア

外山滋比古氏 定年後の人生は現役時代の「ふろく」ではない

新著『お金の整理学』を上梓した外山滋比古氏

 人生100年時代を迎え、「定年後」はこれまで考えられてきたよりもはるかに長くなった。230万部の超ロングセラー『思考の整理学』の著者で、新著『お金の整理学』を上梓した外山滋比古氏(お茶の水女子大学名誉教授)は、「人生の後半戦こそ、“思考力”が必要だ」と指摘している。95歳になった外山氏の考える、人生100年時代を生き抜く要諦とは――。

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 稼ぎを失った定年後の人たちには、社会保障に頼り切りになるという「経済的」な問題に加えて、やることがなくなって人生に面白みが感じられなくなってしまう「精神的」な問題も生まれる。

 仕事をせずに、毎日ぼんやりしてばかりだと、気力も体力も衰える。

 社会との接点を失って、養ってもらってばかりの人生ではつまらない。生活の糧は貯金の切り崩しと2か月に一度振り込まれる年金で、面白くない毎日を過ごすことになる。病気がちになり老化も進み、老人ホームに入って死ぬのを待つだけの暮らしになる。医療や介護にお金がかかり、社会のお荷物のようになるから、周囲からもますます冷たくされていく。

 ここは一つ、知恵をしぼって考えるべきだと思う。

 どうすれば、定年後の第二の人生は面白くなるのか。「生きがい」を探すのである。

 サラリーマン時代とは違う仕事をするのもいいし、楽しめる趣味で少しでも収入を得られないか考えてもいい。

 ずいぶん前のことだが、『思考の整理学』という本で、常に受け身で誰かに引っ張ってもらう〈グライダー〉型の人間ではなく、思考力というエンジンを備え、自力で飛ぶことのできる〈飛行機〉型の人間になるべきだと書いた。

 サラリーマンは、会社から仕事を与えられるという意味では、どうしても〈グライダー〉型になりがちだ。

 定年退職までは会社に引っ張ってもらえるから、それでもなんとか生きていられるかもしれないが、定年後はそうはいかない。自分の頭で考える〈飛行機〉型にならなくてはいけない。

 いま必要なのは、定年後のお金の備えを社会保障に期待することではなく、一人ひとりが主体的に老後の人生設計に取り組むことではないか。

 定年後のことを考えるといっても、「将来、年金が減らされるかもしれない」という不安から、節約して貯金を増やそうとするのは違っていると思う。ある程度の蓄えは必要かもしれないが、それではサラリーマン時代の惰性で老後を過ごそうとしていることに変わりはない。結局は、貯金と年金で老後を乗りきろうという考え方である。

 そういう人生は面白くない。

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