日本人の平均寿命は男性が81才、女性はついに87才になった。これからも寿命は延び続け「人生100年時代」がやってくる。
「長い老後を送るにあたり、もっとも大切なものは『お金』と言ってもいい。日本人は、人前で『お金の話』をするのはみっともない、という思い込みがありますが、改めた方がいいでしょう」
そう語るのは、230万部の超ロングセラー『思考の整理学』(ちくま書房)の著者である英文学者・外山滋比古氏(お茶の水女子大学名誉教授)だ。95才にして現役の“株投資家”でもある外山氏は、現在発売中の新著『お金の整理学』(小学館新書)の中でも、「日本人は、老後のお金と生き方を巡る“思考”を変えるべきだ」と提言している。どう変えるべきなのか―─外山氏に話を聞いた。
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「節約と貯蓄で老後を乗り切ろうと考える人は多い。特に長く家計を預かってきた女性は、株投資などの損をするリスクがあるものを危険視する傾向があります。ただ、『リスクを取らずに貯めるのがいちばん』という一見、堅実そうな考え方には、実はリスクが潜んでいるのです」(外山氏・以下同)
とりわけ問題となるのが「インフレ」だ。日本ではここしばらくデフレの風が吹いているが、ひとたびインフレになれば、物の値段が上がった分、貯め込んだ現金の価値は下がる。