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外山滋比古氏の「お金の整理学」 老後マネーを巡る新たな思考

「しかも、今は銀行預金の金利が限りなくゼロに近い。多少の貯金ではインフレへの備えにはなりません。かつては、郵便局の『定額貯金』で7%の年利がつく時代もあり、10年放っておけば2倍に増えたが、残念なことに、今はまったく状況が違う。貯金をしておけばいいという考えは捨てた方がいい」

 また、世界的に見て日本人の加入率が高い『生命保険』の認識についても変える必要がある。

「生命保険はやはりインフレと非常に相性が悪い。加入者は先に保険料を払い込むが、保険金を受け取るまでの間にインフレが進んでいると、受け取るお金は当初期待していたほどの価値には到底、届きません。多くの生命保険商品や銀行預金には『元本保証』という特徴がある。損をすることはないからと、日本では、この元本保証を好む傾向がとにかく強いが、インフレというリスクを考えると、この点も考え直した方がいいでしょう」

 夫のサラリーマン時代の貯金と退職金、そして定年後の年金、社会保障で、「死ぬまで安心」という時代ではなくなる。貯めたものを取り崩すばかりだと、寿命が延びた分、お金は足りなくなると、外山氏は言う。

「国の借金は膨らむ一方で、医療や介護などの社会保障が今後、どうなるかわかりません。年金にしても、定年退職後に30年も40年も生きている人ばかりになると、制度自体の存続が危うくなる。これからは、『リスクを取らないことがリスク』なのだと気づいた方がいい」

 そこで、外山氏が選択肢の1つにあげるのが「株」だ。

「日本では株投資の危険性ばかり強調されがちですが、30才の頃から60年以上、株投資を続けてきた私からすると、あまりに一面的な評価に思えます。もちろん、急激な値上がりを狙って多額のお金を投じるのは危険です。しかし、長期投資を前提にし、『配当』を重視すれば、リスクは抑えながら安定したリターンが期待できる。持っているだけで年間2~3%の配当がある株は珍しくありません。銀行預金より、よほど利率がいいのです」

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