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年金納付率、所得代替率からGDPまで…政府統計「嘘の歴史」

失踪した技能実習生の徴収票は“誤り“だらけだった(追及する野党議員の会見。写真:時事通信フォト)

失踪した技能実習生の徴収票は“誤り“だらけだった(追及する野党議員の会見。写真:時事通信フォト)

 厚生労働省の毎月勤労統計の調査不正問題では、統計調査の内容やデータを変えて平均賃金を低く見せかけた結果、国民が受け取る失業給付や労災の遺族・障害年金、介護休業給付などが数百億円も減らされ、追加支給が必要になった。「第2の“消えた年金”問題」ともいわれるが、被害者は延べ2000万人にのぼる。

 政府の出す統計の嘘の“前科”は数限りなくある。2006年には旧社会保険庁の職員による国民年金保険料の不正免除事件が発覚。未納者に無断で「全額免除」の手続きを行なっていた。納付率を上げるため、保険料徴収に努めるのでなく「納付義務のある人」という分母を減らす“数字のマジック”は批判を集め、第一次安倍政権が2007年の参院選で大敗する一因となった。

 5年おきに行なわれる年金制度の「財政検証」(給付水準の将来見通し)でも、「年金受給額は現役世代の収入の5割(所得代替率50%)を維持」という建て前を守るため、“無理”が重ねられてきた。

 例えば、2009年2月の財政検証では、「長期の経済前提」として年金の運用利回りを名目4.1%という高率で試算。前年9月にはリーマンショックが起きていただけに、これも批判の的となった。

 そもそも、厚労省の所得代替率の算出方法自体に疑問が呈されている。「年金月額÷現役世代の月収」で求められるが、分子となる年金月額は税や保険料が引かれる前の「額面」を、分母の現役月収は天引き後の「手取り」の数字を用いている。“見せかけだけの数字”を作り出すのは、官僚たちの得意技なのだ。

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