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年金納付率、所得代替率からGDPまで…政府統計「嘘の歴史」

「統計」という名の詐欺

 第二次安倍政権発足以降は、「政府に都合の良い数字」が次々と作り出された。

 2015年9月、安倍晋三・首相は会見で「2020年頃にGDP600兆円」という目標をブチ上げた。当時、500兆円ほどだった名目GDPを5年で100兆円も上積みすると宣言したのだ。懐疑的な受け止めが大勢を占めたが、昨年9月公表の2018年4~6月期に550兆円(年率換算)を突破した。

 実は、この“急上昇”には理由がある。2016年12月に政府がGDPの算出基準を変更したのだ。変更によってGDPは約30兆円も増えた。経済成長せずにGDPを増やすという“離れ技”である。

 昨年、国会で議論された働き方改革関連法案では、「裁量労働制」を巡り、安倍首相が「(裁量労働制で働く人は)一般労働者より労働時間が短いというデータもある」と答弁した。が、根拠として提示された統計データは、一般労働者の“1日の残業時間”が24時間超となっているサンプルが含まれるなど、滅茶苦茶なものだった。“過労死促進法案”という批判に反論するための「捏造」ともいわれた。

 昨年11月、入管法改正を巡っても、政府の調査結果は“誤り”だらけだった。失踪した外国人技能実習生の聞き取り調査で、失踪した動機として約67%が「低賃金」と答えたが、法務省はこれを約87%が「より高い賃金を求めて」だったと説明。実習生が置かれた劣悪な労働環境を隠す意図が疑われる。元文部官僚の寺脇研・京都造形芸術大学教授が指摘する。

「働き方改革や外国人技能実習生のデータは役所が意図的に都合の良い数字を作ったと思われても仕方がない。単純ミスというなら、政府に都合の良い方ばかりに間違うのはおかしいでしょう。第二次安倍政権の発足以降、官邸による官僚人事の支配が強化され、その結果として政権への忖度が強まっていると考えられる」

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