今年(2019年)は亥年である。亥=猪だが、中国の場合、それは日本語のイノシシではなく豚である。豚は財産の象徴で、多産でもあることから、豚年生まれの人は、金運があるというのが中国風水の考え方である。
金運に恵まれるという“金猪宝宝(Baby)”の誕生を多くの夫婦が願っているが、正確には今年は金猪ではない。今年の干支は己亥である。干支は60年で一周するが、己亥は言い換えると土猪であり、金猪にあたる辛亥は12年後の2031年となる。
もっとも、そこはおおらかであり、多くのマスコミが、「今年は“金猪”であり、今年生まれた子供は金運に恵まれる」と表現している。更に「旧暦の2019年となる2019年2月4日11時14分から2020年2月4日17時03分には出生率が上がるだろう」と強調している。
こうした影響もあってか、足元では、家政婦の需給が逼迫している。中でも、特に、出産前後の一定期間、母子の面倒を見るための“月嫂”と呼ばれる家政婦が不足している。最近台頭してきたオンライン営業業者を含め、どこも予約がいっぱいのようだ。家政婦不足はサービス料の急騰に繋がっている。
マスコミ報道によれば、北京のある家政婦派遣会社の費用テーブルは、経験の浅い初級“月嫂”で1か月8800元(約15万円、1元=16.7円で換算、以下同様)、中級は11800~15800元(約20万~26万円)、高級は15800~25800元(約26万~33万円)、特級は19800~25800元(約33万~43万円)、金牌(金メダルクラス)は25800元(約43万円)以上となっている。家政婦派遣会社は別途紹介料を取る形になっており、この費用テーブルの金額が“月嫂”の月収になるとみられる。ユーザーからすれば、サービス料に加え紹介料の負担も加わることになる。
この派遣会社では半年先の予約までいっぱいだそうだ。高額料金を払えば探せるというものでもなく、逆に、経験の豊富なレベルの高い“月嫂”ほど、探すのが難しいそうだ。
家政婦派遣会社が、これまで何も手を打ってこなかったわけではない。“月嫂”は誰でもよいというわけではない。前述の家政婦派遣会社では、育児経験がある女性を対象として、15日間の研修を課し、さらに試験を行い、それに合格した者だけを紹介するようにしているが、一方で積極的な募集活動を行い、研修規模を拡大、“月嫂”の供給を増やす努力をしている。どこも同じようなことを行っているが、それでも、需要の拡大に追いつかない状況のようだ。