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赤木春恵さんの終活、遺族が明かす「最期の優しい配慮」

 赤木さんは80才で糖尿病を患い、その3年後には乳がんの手術を受けた。女優業を続投していたが、90才で大腿骨を骨折したことをきっかけに車いす生活になり、さらに軽度のパーキンソン病を患いながら家族の支えで療養を続けた。人生の終わりを見据えてなお、赤木さんの断捨離は続く。

「母はモノを持たない人でしたが、職業柄、洋服や着物は自宅にたくさんありました。病院に入院してからは、『泉ね、着物や洋服はもう使わないから、死んじゃった後ではなく、今のうちにどんどん人にあげなさい』と言われたので、親しかったかたがたにお譲りしました」(泉さん)

 心不全で他界する直前にも、「時代劇できっと必要になるから」と、孫で俳優の野杁俊希(29才)のために自分の着物を仕立て直すよう望んでいた。

「今日やれることは今日のうちに」をモットーとして、人に迷惑をかけることを何より嫌った心優しい「母」は、遺された泉さんが困らないよう、生前に弁護士に相談をすませていた。

「母は、戦争で死んだ最愛の実兄の、遺された息子と養子縁組をしていました。私にとっての義理の兄になります。義兄は母より先に亡くなってしまったのですが、義兄の家族や私が相続で困るようなことが万が一にもないようにと、心配していたのだと思います。誰かが不幸になることは母の本意ではありませんから、全員に最善となる方法を懸命に考えてくれました。亡くなってから迷惑をかけまいとする配慮でした」(泉さん)

 嫁に冷たく当たる中華料理店『幸楽』の女性店主役からは想像できないほどの優しい気遣いだった。

 人生の終わりを間近にした赤木さんは、「天寿をまっとうしたい」と延命治療を拒んだ。遺言は遺さなかったが、「もし死んでも、お葬式はしなくていいから」と常々つぶやいていたという。どこまでも控えめな赤木さんらしい言葉だが、この願いだけは、泉さんは受け入れなかった。

 昨年12月、赤木さんの「遺言」に反して営まれた告別式には、1200人の参列者が長い行列を作り、大女優を見送った。

※女性セブン2019年3月28日・4月4日号

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