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赤木春恵さんの終活、遺族が明かす「最期の優しい配慮」

人に迷惑をかけることを何より嫌ったという赤木春恵さん(写真:時事通信フォト)

人に迷惑をかけることを何より嫌ったという赤木春恵さん(写真:時事通信フォト)

 各界の著名人たちは、亡くなる前にどんな「生前手続き」を行っていたのか──。家族への「最期の優しい配慮」が際立っていたのは、昨年11月に亡くなった赤木春恵さん(享年94)だ。『渡る世間は鬼ばかり』(TBS系)など数え切れないほどの作品に出演した国民的女優は、16才で松竹映画にニューフェイスとして入所。戦時中は弔問団の仕事で日本全国の軍需工場や軍隊を回り、終戦を迎えた満州で発疹チフスに感染して死線をさまよった。

 帰国後は映画俳優を経て、森繁久彌さんの立ち上げた劇団に所属した後、黎明期のテレビドラマの世界に身を投じ、山田太一さん脚本のNHK連続テレビ小説『藍より青く』(1972年)で一気にブレークした。

 波乱万丈の人生を歩み、押しも押されもせぬ人気女優になってからも、彼女はモノに執着しなかった。娘の野杁泉さんが語る。

「『断捨離』という言葉がなかった頃から母は“捨て魔”でした。仕事を終えて帰宅すると、まずキッチンからゴミ袋を引っ張り出して、家中のゴミ箱の中身をまとめることが日課。取材に来た記者から受け取った謝礼金入りの封筒を、うっかり破り捨てそうになるのを私が何度止めたか数えられません。

 自慢できることではありませんが、撮影が終わると台本もすぐ処分してしまって…(苦笑)。唯一、手元に残ったのは、遺作となった映画『ペコロスの母に会いに行く』(2013年公開)の台本のみ。ゴミ袋を手に取る体力がなくて、捨てることができなかったんです」

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