投資

金融機関は勧めてくれない「米国債」、そのメリットと始め方

長期的に円安になればさらにお得

 米国債にもデメリットはある。最大の心配は「為替」だ。米国債はドル建てであるため、為替が購入時より「円安」になれば、最終的に受け取るお金は増える。しかしその半面、満期の償還時、急激な「円高」になれば、元本が目減りする可能性もありえる。「円安=得」「円高=損」のリスクに晒されているのだ。

 現在アメリカでは、米国債の金利を左右する「政策金利」を引き上げる(利上げ)か、引き下げる(利下げ)かが焦点となっている。しかし、年初からの米中の貿易摩擦や英国のEU(欧州連合)離脱など、為替相場を大きく揺るがすニュースが次々と起き、この3月に、当面は金利を据え置く方針を明らかにしたばかりだ。みずほ証券チーフマーケットエコノミストの上野泰也さんはこう予測する。

「結論からいえば、向こう数年は、アメリカの政策金利は利下げに向かうと予想されます。金利が下がれば、投資家にとって米ドルの魅力が減少するためドルが売られ、『ドル安・円高』となる要因になります。

 ただ、為替は最終的に『国力』が反映されます。長い目でみれば、人口減や少子高齢化など、さまざまな課題を抱える日本の円が売られ、1ドル=150円以上の円安になってもおかしくないでしょう」

 証券アナリストの村田雅志さんも「ドル・円相場は、長期的には1ドル=200円を超えるような円安もありえる」と言う。

 遠い将来まで確実に見渡すことは不可能とはいえ、長期的には円安も見込めれば、それだけ得することになる。

 では、どうやって始めればよいか。まず米国債を取り扱う証券会社に口座を開設する必要がある。『証券会社がひた隠す米国債投資法』(KKベストセラーズ)の著者で、かつて米ゴールドマン・サックス証券で債券営業に携わっていた杉山暢達さん(現ゴールドハーツ代表)は、こう語る。

「安心感を求めるなら、やはり野村證券や三菱UFJモルガン・スタンレー証券といった大手証券が有力です」(杉山さん)

 日本円の口座以外に、ドルを置いておける口座も必要だ。2つの口座開設後、日本円を送金し、ドルを購入後に希望する米国債の種類と購入金額を証券会社に電話で伝えるだけで手続きは完了する。

「米国債は、中途解約もできますが、30年先の老後資金を見据えるなら満期まで持つのが鉄則。為替相場は刻々と変動するため気を取られがちですが、目先の変動に振り回されず、大きく構えて持っていればいい」(杉山さん)

 検討する価値はあるかもしれない。

※女性セブン2019年4月25日号

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