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蕎麦屋の秘伝の味付けを盗んだ従業員を罰することはできるか

従業員に味付けを盗まれてしまった…(イメージ)

従業員に味付けを盗まれてしまった…(イメージ)

 長い歴史を持つ会社にとって、長年の歴史で培ったノウハウは会社の宝。飲食店でもそれは変わらない。父親が苦労して作った秘伝の味付けを盗んだ従業員がいた場合、罰することは可能か? 弁護士の竹下正己氏が回答する。

【相談】
 父から受け継いだ蕎麦屋を経営。多くのお客様が父の作り上げた味を愛してくださり、足を運んでいただいています。ただ、問題なのはその味付けで、レシピを文章化しているのですが、どうやら辞めた従業員が盗み、他店で活用しているようなのです。そのレシピを利益としている点を罪として問えませんか。

【回答】
 味覚で判断する味付けから、レシピの模倣と断定できるか難しいと思いますが、仮にそうだとしても、よい味が真似されるのはやむを得ません。なぜなら、模倣によって食文化は発展してきたからです。

 なので、特許がない限り、独占はできません。また、従業員が働いている間に覚えた味付けや調理法は、その従業員の財産。習得した技能を活かして競業店に移ることも、職業選択の自由の一つ。

 とはいえ、先代が努力して完成させた味付けです。事業者が辛苦して得た情報は敬意をもって大切に保護されるべき。野放図に、ただ乗りを許すと新しい開発意欲もそがれます。そこで不正競争防止法が生産方法、販売方法、その他事業活動に有用な技術上、または営業上の情報であり、公然と知られていない情報で、秘密として管理しているものを「営業秘密」と定義、保護しています。

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