営業秘密を不正取得して使うことはできません。違法な使用の差し止めや損害賠償請求もできますし、不正取得等は犯罪となります。顧客を引き付ける独特の味付けは蕎麦屋営業に利用され、役立っており、レシピは営業上有用な技術上の情報といえます。一般には知られておらず、あなたの店に来なければ味わえないのですから、公然と知られていない情報です。
問題は「秘密として管理」していたかどうか。レシピを鍵のかかる場所に保管していたとすれば、レシピは秘密として管理されていたことになり、こじ開けてコピーすれば不正取得です。しかし、調理の過程を従業員が見る機会があった場合、レシピがなくても同じ味付けが可能ではありませんか。
その場合でも秘密を守るため、従業員にそれがお店にとって大切な営業秘密であることを理解させ、秘密を守ることの誓約書を取り付けるなどの工夫が必要となります。
【プロフィール】1946年、大阪生まれ。東京大学法学部卒業。1971年、弁護士登録。
※週刊ポスト2019年8月2日号